美容師の働き方・年収・技術
理容師の仕事内容は?美容師との違いや仕事道具、年収を一挙紹介!
2022.01.27 UP
そもそも理容師とは?
理容師法には「理容師は理容を業とする者」そして「理容とは頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること」と記されています。
理容師法が交付されたのは、戦後間もなくの1947年12月24日です。そして10年後の1957年に、美容師法が交付されました。
戦後2年と言えば【カットする=オシャレ】ではなく、カットしヒゲを剃ることで【身なりを整える】という考えだったようです。
理容師の仕事内容と美容師との違い
理容師と美容師は同じようにカットやパーマ、カラーなどをしていますが、お互いが施術できない技術があります。
理容師は顔そりができますが、美容師はできません。一方、美容師はまつ毛エクステやまつ毛パーマの施術ができますが、理容師はできません。
その他の施術は法律で禁止されているわけではありませんが、理容師の多くがメイクやヘアセットはやらないようです。
男性客が多いので、需要を考えた時に必要がなかったからと言えるでしょう。
必見!理容師が使う道具を紹介!
理容師と言えば、ハサミ、くし、カミソリを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし他にもたくさんの道具を使い、仕事をしています。
シザーズ(はさみ)
まずは理容師の命、シザーを解説していきたいと思います。シザーは大きく分けて2種類です。
- シザーズ
- 梳きばさみ
シザーズは直線的なカット、スライドカット、ストロークカットに使用します。一方、梳きばさみは毛量調整に使用します。
コーム(くし)
コームも用途に合わせて使い分けるため、非常に種類が多いです。
- コーム(荒櫛、中荒櫛、仕上櫛)
- リングコーム(テールコーム)
カットに使用するコームだけでも3種類あります。荒切りには荒櫛や中荒櫛、仕上櫛は刈上げの微調整に使われます。
仕上櫛は薄く、しなるのが特徴で、生え際に添わせやすく作られています。理容師のコームは耳周りや細かい部分にも使用するため、長さや角度も様々です。
リングコームはパーマのワインディングやアイロンでパーマをかけるときに使用する、コームの後側がとがっている櫛です。
カミソリ(シェービング用レザー)
理容師といえばカミソリは外せません。種類は2種類あります。
- レザー
- 日本剃刀
レザーは刃を変えることが出来、手入れが簡単で衛生的ということで需要が増えました。日本剃刀は砥石で研いで使用します。
現在使っている理容師は減ってはいるものの、感触が柔らかいのでレディースシェービングに使用されることがあるようです。深剃りができるのも特徴です。
シェービング道具
理容室でのシェービングに欠かせない道具が2つあります。
- シェービングマグカップ
- シェービングブラシ
シェービングマグカップはシェービングのための泡を作る道具で、浅い層と深い層の2つの層に分かれています。
あらかじめ深い層に熱いお湯を入れ、浅い層に石鹸を入れます。深い層のお湯でブラシを湿らせてから、浅い層で泡立てるのです。
海外のシェービングマグカップは普通のカップが使用されることが多いですが、日本の理容室の多くが二層式を使用しているようです。
二層式のシェービングマグカップは泡を保温してくれます。最後まで「冷たい」と感じることなく、心地よさを感じて欲しいと思う日本人ならではの思いやりと言えるでしょう。
そしてシェービングブラシで使用される毛は「あなぐま」「豚」「馬と豚の混合」です。特にあなぐまの毛は良質で、愛用している理容師も少なくありません。
その理由は毛に脂分を多く含んでいるため、他の毛に比べ毛自体が水を弾いてくれるので一本一本が独立します。独立することで硬く太いヒゲも立ち上がり、シェービングがしやすくなります。
アイロン
理容室でアイロンを使用する目的は、多くがパーマです。アイロンは3種類あり、パーマに合わせて使い分けています。
- 平型
- 丸形
- 角型
細い平型はアイロンによるセット、アイパー(アイロンパーマ)に使用します。平らなアイロンにも関わらず、アイロンの端の角を利用しキレイなカールを出していくのは、まさに職人技です。
そして幅の広い平型はストレートパーマに使用し、丸型アイロンはゆるいパーマに使用されます。角型は、現在ではあまり見かけなくなったパンチパーマに使用します。
バリカン(クリッパー)
理容室で使用されるバリカンは2種類です。
- バリカン(電動)
- クリッパー(手動)
現在メインで使われているのは電動のバリカンです。特に理容室では男性の硬い髪の毛をカットするので、ハイパワーなものが人気のようです。
近年では訪問理容で寝たきりの方のカットも行っているので、髪の毛が下に落ちないバリカンも開発されています。
ブラシ
理容室で使用されるブラシはセット用、もしくはスケルトンブラシです。男性の髪の毛は短くカットされることが多いため、ロールブラシを使用すると立ち上がり過ぎてしまいます。
後ろへ流す時もカールを付けるというよりは、髪の毛を流したい方向に曲げるイメージです。このようなセットに適しているのが、薄いブラシなのです。
理容師の一日の流れを実例と共に解説!
理容室の規模によっても1日の流れは様々ですが、9時に開店し20時に閉店の理容室をモデルに1日の流れを解説していきたいと思います。
【8:30 出勤】開店の30分前にはお店に行き、着替えて開店の準備をします。
- 蒸しタオルの準備
- 鏡、ガラス拭き
- 外の掃き掃除
【8:50 朝礼】スタッフが全員集まり準備が終わったところで、朝礼をします。
- 本日の予約状況確認
- 昨日の営業での注意点のおさらい
【9:00 開店】お客様を迎え入れます。
【14:00 お昼休憩】ほとんどの理容室が休憩時間は1時間ですが、お客様の状況によって施術の合間に立ちながら食事を取ることもあります。
【20:00 閉店】お客様がいなくなってから片付けを始めます。
- 床の掃き掃除
- タオルを干す
営業中のスケジュールはこのような感じですが、営業後に練習会があり帰宅は終電になる理容室もあります。
理容師に求められることは?
理容師として働く上で求められることは以下の6つです。
- 技術
- コミュニケーション能力
- 向上心
- 忍耐力
- 体力
- チャレンジ精神
それぞれ詳しく解説していきたいと思います。
技術
理容師の仕事はごまかしの利かない仕事です。それゆえに高度な技術力が求められます。しかし最初から技術力のある人はいません。そこで重要になってくるのが向上心と忍耐力です。
向上心
理容師として働いていくのであれば、向上心は欠かせません。なぜなら、理容師の仕事に「完璧」はないからです。
「ここまで出来れば良いだろう」このような考えで仕事を続けている人は、向上心のある後輩にどんどん抜かされていきます。
日々変わっていく技術に終わりはなく、より新しい技術を身に付けた人にお客様は目を向けるからです。
同じことを繰り返すことも大切ですが、そこに向上心がなければ人を引き付ける技術は手に入らないということです。
忍耐力
国家試験に合格し、就職するとすぐにカットができると思っている人もいるようですが、理容師の世界はそう甘くはありません。
技術職は全て下積み期間が長いのです。電話の応対や受付対応に始まり、シャンプーやマッサージの練習など、カットの前に覚えなくてはならないことが山ほどあります。
先の見えない毎日に嫌気がさし、退職する人も少なくありません。
「カットがしたいから理容師になった」そう思うかもしれません。しかし下積み期間に学ぶことは、全て技術者になるうえで必要不可欠な事ばかりです。
忍耐力というと古い考えのような気がしますが、素晴らし技術力を手に入れるために重要なのです。
体力
立ち仕事の理容師に体力は基本です。学生が就職し初めて理容室で働いたとき、初めて「脚が棒になる」経験をするでしょう。
実は長時間歩くことと、同じ場所からあまり動かずに立っている事では辛さが違います。そして立て続けのシャンプーでは、長い時間前傾姿勢を保っているため直立することが辛いこともあります。
これらは普段使わない筋肉を使うため、体が悲鳴を上げているのです。しかし毎日継続することで、3ヶ月もすれば体は慣れてきます。
理容師は同じ姿勢を長く継続しる仕事です。慣れても腰痛に悩まされる人は非常に多く、腰痛を理由に退職をする人もいます。
このようなことが起こらないためにも、ストレッチや筋肉トレーニングをしておくことをおすすめします。
コミュニケーション能力
「職人は黙々と仕事をするのがカッコイイ」このような考えは、昔の考えです。
現在では男性もオシャレになり、お客様も様々なヘアスタイルをオーダーすることが増えました。そこで重要なのが、理容師のコミュニケーション能力です。
楽しく会話をすることだけがコミュニケーションではありません。お客様の希望するヘアスタイルを聞き出すためにも、コミュニケーション能力が必要なのです。
「どの位切りますか?前髪は?サイドは耳を出しますか?」このような質問は非常にナンセンスです。
「どんなヘアスタイルがしたいのか」「このヘアスタイルのどんなところが好きなのか」「スタイリングにはどのくらい時間をかけるのか」などお客様のデータを会話の中で集め、要望のヘアスタイルの再現性はあるのかを見極めることが必要です。
技術職もコミュニケーションが必要な時代になってきたのです。
チャレンジ精神
理容師になり、様々な施術に入っていく中で欠かせないのがチャレンジ精神です。初めての時は、誰しも緊張しますよね。
しかし一番チャレンジ精神が必要になるのが、カットに失敗し次の人のカットに入る時でしょう。一度大きな失敗をすると、カットに入ることに恐怖を感じてしまいます。
まさに筆者がそうだったのです。カットに失敗し、先輩にフォローをしてもらいましたが切ってしまった髪の毛は元には戻りません。
そんな思いから「カットに入りたくない」と思ってしまったのです。
しかし今になれば分かります。あの失敗は次に失敗しないために必要だったのです。そして一つの失敗を恐れ、チャレンジしないことの方が何倍も後悔するのです。
失敗は誰もが経験する事です。現在のカリスマでさえも昔は失敗したでしょう。しかし諦めずにチャレンジし続けたからこそ、今があるのです。
理容師の平均年収っていくら?
理容師の平均年収は理容室の規模によっても違いはありますが約364万円と言われています。そしてアルバイト、パートでは時給997円、派遣社員で1,526円が平均値です。
地域によっても違いがあり、理容師の平均年収が一番高いのは福井県の420万円でした。美容室の平均年収は断然東京都が一番でしたが、これには理由があります。
少し興味深いデータがあったので見てみたいと思います。
都県 | 理容室数 | 美容室数 |
---|---|---|
福井県 | 988軒 | 1,770軒 |
東京都 | 9,209軒 | 19,790軒 |
パッと見ると圧倒的に東京都の軒数が多いのですが、注目すべき点はそこではありません。
東京都では理容室軒数が美容室軒数の半数に満たないのですが、福井県では理容室軒数が美容室軒数の半数以上あります。つまり福井県ではまだまだ理容室の需要が高いということです。
そして福井県の理容室での1回の平均料金が3,929円に対し、東京都は3,753円と下回っています。
筆者の憶測ではありますが、東京都での理美容室の価格競争が福井県ではなく、その結果が年収に反映されているのだろうと思いました。
理容師はどんなところで活躍できるの?
理容師の働くところと言えば理容室ですが、現在では少し変わってきているようです。
- 理容室(大型、小型、カット専門店)
- 理容、美容併設店
- 美容室
- シェービング専門店
- 訪問理容
詳しく解説していきたいと思います。
理容室(大型、小型、カット専門店)
理容室も大型チェーン店や個人店、カット専門店と様々の形態になってきています。どこもメリット・デメリットはあるものの、基本的に働き方に大きな違いはありません。
カット専門店に関しては店舗で働くものの、個人事業主として鏡を借りる形態になっている理容室もあるようです。
理容、美容併設店
近年増えつつあるのが、トータルビューティーをうたったサロンです。1階と2階で理容室と美容室が分かれていたり、従業員が全てダブルライセンスを持ち同じフロアで働いているサロンもあります。
両方のメリットを兼ね備えているため、今後さらに増えるのではないでしょうか。
美容室
美容室で提供するサービスとして、ブライダルエステなどがあります。しかし美容師免許保持者では、カミソリを使用した顔そりは出来ません。
そこでカミソリによる顔そりができる理容師の需要があるのです。
シェービング専門店
特に理容師の女性におすすめなのが、女性用のシェービング専門店です。女性が一般の理容室で顔そりをしてもらうのは少し恥ずかしいですよね。
そこで女性用のシェービング専門店が人気が出てきているようです。多くのシェービング専門店ではブライダルメニューがあるため、フェイシャルエステなども施すので勉強が必要になります。
訪問理容
理容室に来れないお客様のところに行き、カットをするのが訪問理容です。
訪問理容は以前は高齢者が利用できるものと認知されていましたが、近年では産前産後の女性も理容できるサービスになっています。
カットに限られていたサービスもパーマやカラー、顔そりも可能なところが増えてきています。
理容師になるには何をすべき?
理容師になるためには、まずは専門学校に行く必要があります。
- 昼間課程(2年)
- 通信課程(3年)
後に実技と学科の国家試験を受け、無事に合格すると理容師免許保持者になり、理容室で施術に入ることが許されます。
しかし免許を取ることが理容師になる事ではありません。そこからの努力で理容師になっていきます。あくまでも理容師免許取得は入り口に過ぎないのです。