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美容師の腱鞘炎は要注意!他の病気の可能性、正しい対処法とは
2021.05.10 UP

美容師の職業病腱鞘炎とは

腱鞘炎を語る上では、まずは「腱鞘」について知る必要があります。


「腱鞘」とは骨と関節等を繋ぐ役割をしてくれている「腱」を包み稼働させやすくする役割をしてくれるものです。


そして、この「腱鞘」と「腱」が何らかの理由でぶつかったり、擦れたりして、痛みを伴うようになります。


その結果、炎症を起こしてしまうのが腱鞘炎ということです。


他の病気の可能性も?腱鞘炎の種類について

腱鞘炎にはどんな過程で炎症が起こったのかによって大きく2種類に分けることができます。


親指の使い過ぎで起こってしまう「ドケルバン病」

ドケルバン病は、美容師に一番多いと思われる腱鞘炎の種類です。


症状としては、親指を動かすと手首に痛みが生じ、親指の付け根の手の甲が腫れ上がってしまいます。


美容師はハサミの開閉の時には基本的に親指のみを動かす為、この腱鞘炎の種類が多いとされています。


また、現代ではスマートフォンで親指ばかり使う場面が増えていますので、美容師の方は特に注意が必要かもしれません。


親指以外にも症状が起こる「ばね指」

こちらは親指に限らず、全ての指で起こり得る症状です。


症状としては、ばねの様にカクっと引っ掛かりが起こってしまい、主に指の付け根が腫れ上がって痛みを伴なってしまいます。


以上、2種類の腱鞘炎ですが、放っておくとリスクもあります。


少しの痛みでも放っておいてしまうと症状が悪化してしまい、簡単な指の動作でも激痛が伴う可能性があります。


その為、腱鞘炎が疑われる場合は早急に対処する必要があります。


腱鞘炎の対処法、悪化を防ぐ方法

腱鞘炎が疑われる場合はまずは病院へ行くのが一番ですが、自分で出来る予防法や対処法もご紹介致します。


腱鞘炎の悪化を防ぐ予防法

少しでも腱鞘炎が疑われる場合は、手指を使い過ぎない事が重要です。


とはいえ、美容師である以上はハサミを使わずに仕事をするのは難しい為、サポーターを巻いての施術をする等の工夫が必要です。また、スマホ操作をタッチペンでの操作に変更したりするなどして、少しでも指の負担を減らす努力をしましょう。


また、施術中の姿勢やハサミの正しい開閉方法を改めて確認し、負担のかからないような仕事の仕方を工夫する事も重要です。


腱鞘炎の悪化を防ぐ為には、なるべく手指を使わない事と負担のかからない仕事の方法を考える事が先決です。


病院へ行かずに自分で対処する場合

大前提として、腱鞘炎になってしまった場合はなるべく早くに病院で治療を受ける事が重要です。


しかし、美容師だと病院に行く時間も取れない事も多いかと思います。そのため、万が一、自分で対処しなくてはならない状況でも困らないように対処法を確認しておきましょう。


①テーピングで固定をする

テーピングで固定する事により、指を可動する為の補助をしてくれるのと可動域を制限する事により、腱鞘の負担を和らげる事ができます。


②概要鎮痛消炎薬を利用する

所謂、湿布や内服薬を利用する事によって痛みを和らげる方法です。


こちらは対処療法になるため、痛みを和らげる事は直接的な治療には繋がらない他、可動の制限は出来ない為に症状を悪化させてしまう危険性もあります。応急処置程度に考えておきましょう。


腱鞘炎の治療方法

前述してきた対処方法でも痛みが改善されない場合には、病院での治療を余儀なくされます。


ここでは病院での治療方法について見ていきましょう。


①ステロイド注射

病院でしっかりとした湿布や内服薬を利用しても症状が改善されない場合にはステロイド注射が速攻性があり利用する場合があります。


効果は2〜3週間で症状の改善が期待でき、その効果も半年程度続く為、非常に有効です。


しかし、アレルギー体質のある方はこの注射を利用する事が出来ない場合がありますので、注意が必要です。医師と相談して治療方針を決めていきましょう。


②手術をする

重症化してしまった腱鞘炎かつ、前述した対処法がどれも効果が無かった場合に手術を検討する必要が出てきます。


手術の内容としては、腫れてしまった腱鞘を切って腱を開放させる事で症状を和らげることを目的とし、麻酔は局所にし20分程度で施術は終わります。


基本的に入院はせずに日帰りで終わる為、忙しい美容師でも比較的簡単に手術を受けることが可能です。


腱鞘炎が理由で美容師を辞める人はいるのか、労災の有無について解説

そもそも腱鞘炎で美容師を辞めざるを得ない状況はあるのでしょうか。


実際のところ、腱鞘炎が理由で美容師の仕事を辞めざるを得ない方も多くいます。


そんな最悪の事態になってしまった方の改善策も下記の通りいくつかありますので、ご紹介致します。


①利き手ではない手でカットの練習をする

腱鞘炎が重症化してしまうとハサミもまともに握れなくなってしまいます。


このような重い症状が出てしてもなお、美容師を続けたいと思う方は利き手とは反対の手でのカットをする必要が出てきます。


また、そこまで重症では無くとも痛みが伴う場合は、刈り上げなどのように特定のカット技法のみを利き手とは別の手で行うという方もいらっしゃるようです。


②腱鞘炎予防のハサミを使用する

現代では、ハサミメーカーが手に負担がかからないハサミの開発をしています。


そのため、そこまで重症化していない方は病院に通院する事は大前提として、ハサミなどの道具を変える事を考えてみても良いでしょう。また、予防という意味でもそういったハサミを症状が出る前から使うこともおすすめです。


美容師の腱鞘炎で労災はおりるのか?

これまで説明してきた美容師にとって職業病とも言える腱鞘炎ですが、果たして労災はおりるのでしょうか。


そもそも労災とは労働災害保険の略で、業務中または通勤中に起きた怪我や事故に対して保険給付を行なってくれる制度です。


そんな労災ですが、実は腱鞘炎では保険がおりない場合が例が多数見受けられています。


労災がおりづらい理由として、本当に美容師としての業務中に起きた症状なのかが証明しにくいという点が挙げられます。


腱鞘炎は日常生活でも起こってしまう怪我の為、美容の業務中に起こった怪我という事を証明できれば保険もおりるようです。


また、最近では特定の法人や店舗に属さないフリーランスの美容師も増えてきていますので、フリーランスで働いている方は個人でしっかりと保険に入っていないと、症状を証明できたとしても当然ですが保険は適用されません。


そのため、症状が出た段階ですぐに病院へ行き、どんな場面で腱鞘炎が起きてしまったか証明できるようにしておきましょう。


そして、フリーランス美容師の方はご自身で保険の対策をしているか確認するようにしましょう。


腱鞘炎に配慮してくれる美容院はあるのか

以上、腱鞘炎の厄介さがお分かり頂けたと思いますが、そんな腱鞘炎に配慮してくれる美容院はあるのでしょうか?


美容院での配慮の差は勿論ありますが、基本的に業務委託やフリーランスで働いてる方は個人での判断になるかと思います。


何故なら、業務委託やフリーランスの美容師の場合は、腱鞘炎が理由で休んだ期間の収入は誰も補償してくれないためです。


また正社員で働いている美容師の方も、スタッフ数が少ない美容院だとスタッフ1人の働きが美容院としての売上にも直結してしまう為に、手厚い対応が難しいという事も理解しておかなければなりません。


そのため、正社員で雇用されている事は大前提とし、何店舗も展開しているような大型サロンかつ、働いている店舗がフランチャイズオーナーではない店舗でしたら腱鞘炎に関して色々と配慮してくれる可能性は高いでしょう。


腱鞘炎に限らず、同じようなことがあった際に、手厚いサポートがあるかどうかは働く美容院によって大きく異なるので、入社前にしっかりと聞いておく必要がありそうですね。


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