美容師の働き方・年収・技術
ヘアスタイリストになるには?仕事内容や資格・適性について解説!
2022.03.29 UP
ヘアスタイリストとは?仕事内容と1日の仕事の流れについて解説!
「ヘアスタイリスト」の意味を辞書で調べてみると【髪型を考慮したり整えたりする職業の人】と記されています。つまり「美容師」ということになります。
しかし美容師には国家資格を取得したアシスタントも含まれるため、実務経験を経てきた美容師を「ヘアスタイリスト」と呼びます。
ヘアスタイリストの仕事内容
ヘアスタイリストの仕事は以下の通りです。
- お客様のご要望に応える
- お客様にスタイルを提案する
つまり、カウンセリングからシャンプー、カット、カラー、パーマ、ブロー、スタイリングなどを通し、お客様に【美】を提供することが仕事になります。
ヘアスタイリストの1日の流れ
まずは1日の流れを見てみましょう。
9:30 出勤
9:50 朝礼
10:00 開店
14:00 休憩
15:00 業務
20:00 閉店、終礼
20:30 練習
開店前と閉店後の業務を細かく解説していきたいと思います。
【開店前の業務】
- 開店前に予約状況を確認し、スタッフ全員で共有
- 店舗の清掃
- 自分の身なりのチェック
予約状況の確認は自分の担当するお客様だけではなく、他のヘアスタイリストの予約状況もチェックが必要です。
大規模な店舗の場合、シャンプー台も多く設置されているので問題はありませんが、中規模や小規模の店舗の場合は流しやシャンプーのタイミングが重なり、お客様を待たせてしまう事があります。
お待たせしないためにも、サロン全体でのタイムスケジュールを頭の中で組みながら仕事をする必要があるのです。
そして店舗の清掃は、お客様に気持ちよく過ごしていただくためにも必須です。特に働いている側としては見慣れてしまっているカットした髪の毛は、お客様にとってゴミでしかありません。
自分の見える場所だけでなく、お客様が一番気付きやすい雑誌の間やクロスに付いた髪の毛などにも注意が必要です。
開店時間前に必ずチェックしたいのが、自分の身なりです。鏡越しに写る自分の姿が、お客様に不快感を与えることがないように気を付けましょう。
【閉店後の業務】
- 店舗の清掃
- 閉店後の終礼
- 練習
閉店後は主に床掃きや整理整頓をし、終礼を行います。終礼では、その日気付いたことをスタッフ全員で共有し、改善方法などを考え明日に備えます。
仕事中に忙しくアシスタントへアドバイスできなかったことなども、終礼で伝えることで解決しておきましょう。
閉店後の練習はヘアスタイリストの場合、自身の練習をしながら指導にあたることも多いです。大変ではありますが、教えることは習う以上に自分の学びになります。
ヘアスタイリストになるにはどうしたらいい?ヘアメイク専門学校に進学して美容師免許を取得!
ヘアスタイリストになるためには以下の2つが必要です。
1,美容師養成施設に入学
2,美容師免許を取得
詳しく解説していきたいと思います。
美容師養成施設に入学
美容師養成施設は昼間課程・夜間課程・通信課程があり、昼間課程と夜間課程に進学する場合は多くの養成施設が高卒以上で入学可能になります。
最終学歴が中学卒業であったり、働きながら資格を取りたい人などは通信教育がおすすめです。昼間課程や夜間課程に比べ1年長いですが、学費が安く済むなどのメリットもあります。
美容師免許を取得
美容師養成施設の課程を修了し、初めて国家試験の受験資格を得ることができます。美容師国家試験は実技試験と学科試験があり、両方とも試験に合格することで美容師免許が取得できます。
【実技試験】
第一課題…カッティング
第二課題…ワインディングもしくはオールウェーブセッティングおよび衛生上の取り扱い
実技試験は減点法により採点されます。
カッティングの減点は30点以下、ワインディングもしくはオールウェーブセッティングの減点は40点以下であること、衛生上の取り扱いに関しては減点が20点以下が合格基準となります。
【学科試験】
- 関係法規・制度および運営管理
- 衛生管理(公衆衛生、環境衛生、感染症、衛生管理技術)
- 保健(人体の構造および機能、皮膚科学)
- 香粧品化学
- 文化論および美容技術理論
筆記試験は5科目からの出題で、60%以上の正解率である必要があります。しかし60%以上の得点でも、0点の科目がある場合は不合格になります。
ヘアスタイリストの給与・年収はどれくらい?年収アップには資格取得や昇進、転職、独立が必要!
ヘアスタイリストの月収は平均25万円程度と言われています。平均賞与は年間5万円、年収にすると250~300万円が平均的な数字です。
一般のサラリーマンの平均年収が約440万円ですから、比べてみるとヘアスタイリストの収入が低いのは一目瞭然です。
しかし、ヘアスタイリスト全てが収入が低いわけではありません。年収をアップできる可能性のある方法は4つあります。
- 資格取得
- 店舗内での昇進
- 転職
- 独立
詳しく解説していきたいと思います。
資格取得
資格を取得することで専門的な知識をお客様に提供できるため、顧客獲得でき売上アップが望めます。結果、収入アップに繋がるというわけです。
- 【ヘアケアマイスター】…近年注目を集めているのがヘアケアマイスターです。毛髪の健康やパーマやカラーの専門知識、皮膚科学を詳しく学ぶことで、お客様の毛髪の状況を正確に判断でき適切なアドバイスが出来るようになります。
- 【日本化粧品検定】…美容室でも化粧品の販売やフェイシャルエステのサービスを提供するために役立つのが日本化粧品検定です。適切なスキンケア方法がアドバイス出来るようになります。
- 【ヘアカラーリスト検定】…最新のヘアカラー技術やヘアカラー剤の情報を得る事がスキルアップに繋がり、よりお客様に満足してもらえる技術が提供できるようになります。
- 【色彩検定】…色そのものについて学べる色彩検定は、カラーの基礎を学ぶことができます。今までのカラーの知識をプラスすることで、新たなカラーを提供できるようになります。
その他に手当として昇給が見込める資格が、管理美容師資格です。管理美容師は美容師として3年実務経験を積んだうえで、18時間の講習を受けることで取得することができます。
資格を取得することで、衛生管理・衛生措置を講じることができるようになるため、店舗によっては手当が付くこともあるようです。
美容師が2人以上いる美容室には、管理美容師を置くことが美容師法によって定められている重要な資格になります。
店舗内での昇進
昇給に欠かせないのが店舗内での昇進です。
アシスタントの始まり、ジュニアスタイリスト、スタイリスト、トップスタイリストへの昇格は技術手当や売上が上がることで自然と年収はアップしていくでしょう。
そして役職につくことでも年収はアップします。チーフや店長などは任される仕事は増えるものの、役職手当が付きます。
美容室の店長の平均年収は約350〜450万円と言われています。
転職
現在の店舗での昇給が見込めない場合は、転職を検討してみても良いかもしれません。
近年では年収をアップさせるために、フリーランスとして面貸しや業務委託で働く人も増えています。働き方次第では雇用されている時の倍以上も収入を得ている人もいます。
デメリットとしてはフリーランスは自由できる一方で、全く保証がないことが挙げられます。
独立
もし年収アップさせるための戦略を練る自信があるのであれば、独立し年収をアップさせることは可能でしょう。
しかしながら、現在美容室の軒数はコンビニよりも多くかなりの激戦を強いられます。つまり独立=年収アップではないのです。
みなさんは「HAIR&MAKE EARTH」のオーナーである、國分利治さんをご存知でしょうか。東京都内だけでも既に48店舗、フランチャイズも含め240店舗以上の頂点に立ち、年商3億円とも言われています。
日本で一番稼いでいる美容室オーナーと言っても過言ではないでしょう。國分利治さんに憧れ、独立した美容師も数多くいると思います。
しかし多くの美容師が、第二の國分利治さんにはなれませんでした。その理由は「人気ヘアスタイリストというだけでは独立しても稼げない」ただそれだけです。
独立し収入をアップするためには、様々な戦力が必要になってきます。そして人気のある美容室と同じことをしても、同じように人は集まらないでしょう。
國分利治さんのように一歩先を見据え、常に今やるべきことが判断できる能力が店舗の先行きを左右していくのです。
夢のない話をしてしまいましたが、ヘアスタイリストとしての実力が経営者としての実力ではありません。経営者としての学びを怠らないことが、独立し年収をアップするための近道といえるでしょう。
ヘアスタイリストの仕事のやりがいは?お客様からの「ありがとう」の言葉が励みになる!
ヘアスタイリストの仕事はハードですが、やりがいのある仕事でもあります。理由は以下の通りです。
- 自分のセンスや磨いた技術力を形にすることで、成長が実感できる
- 習得する技術に終わりがなく向上心を持って働ける
- お客様から感謝の言葉をもらえる
ヘアスタイリストの仕事は、毎日インプットとアウトプットを繰り返しています。しかしヘアスタイリストは自分の観点だけではなかなか成長を感じることは出来ず、お客様に喜んでもらうことで技術力の成長を実感する事が多いようです。
どんなに疲れていても、お客様からの「ありがとう」「また、お願いします」「安心してお任せできる」といった言葉が心の支えになり、向上心にも繋がっていきます。
ヘアスタイリストに向いているのはどんな人?美容・ファッションへの関心やコミュニケーション力の高さが重要!
ヘアスタイリストに向いている人は以下のタイプの人です。
- 美容・ファッションへの関心が高い人
- コミュニケーション能力が高い人
- 向上心のある人
- 人に喜んでもらうことが好きな人
「好きこそ物の上手なれ」ということわざがあります。好きなことは上達しやすいという意味で、ヘアスタイリストも同様です。
美容やファッションに関心がある人の方が、流行を掴みやすいです。その知識をお客様への施術にいかすことができる人は、人気のヘアスタイリストになれるでしょう。
そしてコミュニケーション能力が高いことでお客様の要望を聞き出し、ヘアスタイルを提案することができます。ここでいうコミュニケーション能力とは「トーク力」ではなく「ヒアリング力」です。
コミュニケーションを「面白い話を提供すること」と思い違いしている人もいますが、ヘアスタイリストは聞き役に徹した方がお客様も気持ちよく過ごすことができます。
向き不向きだけで言ってしまえば、どちらも備わっている方がヘアスタイリストに向いていると言えるでしょう。しかしヘアスタイリストも人間ですから、全てが備わっている人ばかりではありません。
どちらも当てはまらない人でも、人に喜んでもらうために向上心を持ち続けられる人であれば、最初は美容やファッションに興味がなくてもコミュニケーション能力が低くても、ヘアスタイリストとして向いているのではないかと思います。
結果は後から付いてきます。喜んでもらうために努力をし続けていれば、美容やファッションに興味も出てくるでしょう。そして、相手を知るためのコミュニケーション力も高まってくるでしょう。
最初からヘアスタイリストに向いている人は一握りです。技術を身に付けていく中で、ヘアスタイリストに備わっていた方が良いスキルも身に付けていけば良いのです。
ヘアスタイリストの就職先や仕事の将来性は?福祉分野やエイジングケア分野に注目!
現在ではヘアスタイリストの就職先も様々で、美容室のみではありません。それに伴い、将来性も変わってきているようです。詳しく解説していきたいと思います。
ヘアスタイリストの就職先
- 美容室
- 理美容師養成施設の教員
- ヘアメイク事務所
- ブライダル業界
- フォトスタジオ
- ヘアセット専門店
ヘアスタイリストは、美容室にとどまらず様々な場所で活躍することができます。しかし、そのためには美容室でのスキルとは異なったスキルを身に付ける必要があります。
メイクや着付け、写真撮影のためのヘアメイク等を学ぶことで就職先の選択肢は大きく広がります。
ヘアスタイリストの仕事の将来性
日本国内での美容業界マーケットは一部では縮小傾向にあると言われています。その理由に「低価格化」「来店サイクルの長期化」「人口の減少」などが挙げられます。
しかし、ヘアスタイリストとしての仕事は視野を広げることで、将来性はまだまだあると言えそうです。
世界への進出
ヘアスタイリストの仕事は世界共通です。
既にロンドン、シンガポール、香港、アメリカ、ドイツなどに出店している美容室も多く、日本人美容師の繊細さは世界トップレベルとも言われています。
しかし、人種が変われば言葉が変わり、髪質が変わります。同じ施術をするにあたっても、新たな知識を学ぶ必要があります。
新たな環境に飛び込む事を恐れず、学び続けることを止めなければヘアスタイリストとしての将来性は無限なのです。
福祉業界での需要
近年、目にすることが増えた福祉美容・訪問美容は高齢化が進み注目されている働き方です。
この2つは、依頼のあった自宅や施設や病院などの出向き施術を行います。福祉美容師・訪問美容師として働くためには美容師免許があれば働けますが、寝たきりの人のカットやシャンプーは今までの技術とは全く違ってきます。
同じ職種ではありますが、介護要素の入った知識や応用力が必要になってくるのです。自信を持って対応していきたいと考えるのであれば【訪問福祉美容師】の認定資格を取得しておくと良いでしょう。
福祉理美容師は【日本訪問福祉美容協会】【日本理美容福祉協会】【日本訪問美容推進協会】などで講習を受け、認定資格を取得することができます。
ヘアスタイリスト+α(アルファ)の時代へ
今までヘアスタイリストとして活躍してきた人たちも、+αの技術を持つことで将来性が広がっていきます。
美容室はトータルビューティーサロンになることでお客様に様々な提案が出来るようになるのです。
そのためにはエイジングケア、メイク、エステなど様々な学びが必要になってきます。
つまり現状に満足していては選択肢が減っていき、将来性はあまり期待できません。常に新しい技術に興味を持ち取得していくかどうかで、ヘアスタイリストの未来が変わってきます。
【スペシャリティ】【オールマイティ】この二つが、今後の美容界を掴むために必須になってくるでしょう。