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美容師の働き方・年収・技術
美容師の業務委託と正社員の違いは?メリット・デメリットを解説!
2021.09.29 UP

業務委託契約ってなに?雇用契約や派遣契約、面貸しとの違いも解説!

フリーランスの美容師が増え、業務委託や面貸しなどといった言葉をよく耳にするようになりました。


フリーランスの業務委託と面貸しは、似ていますが働き方が少し違います。


業務委託は個人事業主として美容室と契約し、仕事を依頼され報酬を得る働き方です。一方面貸しは、ミラーレンタルとも言われており場所を借りて自分で集客し報酬を得ます。


ちなみに雇用契約や派遣契約は会社に属し会社から給料をもらいますが、フリーランスの業務委託と面貸しは個人事業主になります。会社の決まったルールに沿って働くのではなく自由に働けるところが魅力で、近年人気の働き方でもあります。


業務委託で働きたい人必見!業務委託のメリットとデメリットを解説!

フリーランスと聞くと響きが良いですが、メリットがあればデメリットもあります。


業務委託のメリット

  • 最初から最後までじっくり接客できる
  • 働き方次第で雇用契約よりも稼ぎやすい
  • 勤務時間や休日を自分で決められる
  • 残業や営業以外の業務、ノルマがない
  • 人間関係にストレスが少ない

自由さが魅力の業務委託は個人戦が好きで、黙々と働きたい方にとってのメリットが多いです。


美容師ならではの長い拘束時間から解放され、土日に休むことも可能になります。他の業種の方とも接点を持つ機会を増やせるので、仕事上でもメリットになるでしょう。


雇用のデメリットを大幅に改善できるので、雇用で不満のある方がフリーランスの業務委託として転職することが多いようです。


業務委託のデメリット

  • 確定申告等の手続きを自分でやらなければならない
  • 給料の保証がないため客数によっては収入が減る
  • 練習会などがないため、自主的に学ぶ必要がある
  • スタッフ同士のコミュニケーションが少ない

個人事業主になり初めての分かるのが、会社がやってくれていたことが思いのほか多いことではないでしょうか。


雇用されていれば年末調整の書類を提出することで、様々な手続きや納税を会社側が行ってくれます。しかし業務委託は仕事を依頼されているとは言え、個人事業主なので手続きのため役所に行く機会は増えるでしょう。


そして自由は良くも悪くも全てが自己責任です。緩い勤務状態では給料は低くなりますし、練習も自主的に講習を受けなければ学びの場はありません。


きちんと先を見据えて行動しておかないと、後で後悔する事になります。


業務委託で働きたいと思ったら準備するものは?契約書は必要?

業務委託の美容師として働く場合、個人事業主ですから税務署に【開業届け】を出す必要があります。そして確定申告で青色申告をする場合は、同時に【青色申告承認申請】を提出しておきましょう。


他にも今まで雇用されていた美容室で社会保険等に入っていた方は、新たに【国民健康保険】や【国民年金】に加入しておく必要があります。


ここまでは自分で開業する時と変わりませんが、業務委託の場合に違うことは、働く美容師と採用する美容室の経営者との間で業務委託契約を結ぶ必要があります。


業務委託契約は口頭ではなく【業務委託契約書】として形に残しましょう。


ちなみに業務委託契約には労働基準法は適応されないので、出勤時間や出勤日数を自由に決めることができます。


業務委託で働くと稼げない?給料相場をご紹介!

業務委託は給料形態や就業条件が様々なため、相場はハッキリしていませんが、月間で80万円の売り上げを立て、32~36万程度の収入を得ている方もいるようです。


働き方が自由な業務委託で稼げるかどうかは、本人次第と言えるでしょう。


しかし業務委託の面白いところは、【勤務日数=収益の多さ】や【施術人数=収益の多さ】ではないところです。週1日の休みで出勤しても、指名客が少なかったり施術時間が長く1日に5人しか担当できない美容師もいます。


業務委託ではフリー客40%、指名客55%など還元される割合が違うことが多いので、1日40,000円売上げがあってもフリー客の場合16,000円、指名客の場合22,000円になります。この場合1日で6,000円もの差になってしまうのです。


もっと分かりやすく言えば月間100万円をフリー客で売上げると40万円、指名客で売上げると55万円の収益になります。同じ人数を施術して月に15万円の収益の差を考えると、いかに指名客が重要か分かるのではないでしょうか。


ちなみに客単価5,000円で考えると、指名客の多い美容師は1ヶ月に200名の施術をすることになります。もしフリー客のみの美容師が、指名客の多い美容師と同じだけ稼ごうと思うと1ヶ月に275名の施術に入る必要があります。


そこで問題なのが、そもそもそれだけの来店客が見込めるのかということです。毎月の勤務日数が25日勤務でも1日11人ものお客様の施術に入る必要があります。


人口の減りつつある現代、1日11人ものお客様を担当することは簡単ではありません。


業務委託で稼げない美容師の特徴は、指名客ではなくフリー客で稼ごうと考えていることです。指名客が増えていけば、自ずと収益は上がっていくため、指名客を増やすために必要なことを考えましょう。


考え方1つで収益を上げることができると考えれば、業務委託は稼げる働き方の1つと言えるでしょう。


業務委託で働く際の注意点は?契約書や確定申告、源泉徴収はどうなるの?

業務委託で働くために知っておきたい注意点は4つあります。


  • 業務委託契約書を書面で残す
  • 自分で確定申告をする
  • 業務委託は源泉徴収されない
  • 業務委託で働くということは開業することである

4つをそれぞれ説明していきます。


業務委託契約書を書面で残す

美容師の業務委託契約は美容室と業務委託を受ける美容師が、揉めることなく業務を行うために非常に重要なもので、民法上の準委任契約に該当します。


※【準委任契約】とは、「完成品や成果物の存在しない業務」や「事務の処理を目的とした業務」に用いられる契約形態。


後から問題になりやすい以下の点については必ず両方の納得を得てから、業務委託契約書として残しましょう。


  • 報酬の支払い…還元率を明確にしておく
  • 美容室からの指示…採用する美容室のオーナー、スタッフからの指示は無しとする
  • 材料、機材の準備…作業に用いるシザーなどの用具は請負人が準備する
  • 勤務時間…時間の拘束は受けない

この4つの点は業務委託として守られなければならない点になります。しかし、書面で残されていないと曖昧になってしまう事も多く、業務委託契約なのに雇用契約と変わりない扱いを受けることもあ


るので注意が必要です。


自分で確定申告をする

業務委託として働く場合、個人事業主になりますので毎年確定申告を行う必要があります。


「今までやったことがないから、うっかり忘れていた」なんてことは通用しません。業務委託は店舗を構えていなくても、業務委託契約書により個人事業主として開業したことになります。


したがってうっかり確定申告を忘れてしまうと、大きなリスクを背負うことになりかねないので気を付けましょう。


確定申告の時期

  • 所得税及び復興特別所得税…2/16~3/15
  • 個人事業者の消費税及び地方消費税…1/4~3/31

消費税の申告に関しては、前々年度の売上が1,000万円を超えている、もしくは前年度の1~6月の売上が1,000万円を超えている方が対象になります。


確定申告の場所

確定申告を行うのは、原則1月1日時点で住民票がある自治体の税務署です。管轄の税務署を調べたい時は国税庁のHPから各都道府県の税務署が調べられます。


確定申告は税務署に行かなくてもできる

時間が無く税務署に行くのが大変な方は、郵送やe-Taxでの申告もできます。


郵送は国税庁のHPで作成した書類をプリントアウトし郵送します。手順を追って説明されるので簡単に作成できます。控えの書類はきちんと保存しておきましょう。


e-Taxは現在マイナンバーカードとスマホ、もしくはカードリーダライタでも利用できるようになり、非常に便利になりました。マイナンバーカードがなくても、事前にIDとパスワードの設定を税務署でしておけば簡単に申告することができます。


確定申告に必要なもの

個人事業主として確定申告する時に必要なものは以下の8点です。


  • 売上伝票または日報や月報
  • 経費になる領収書
  • 仕事で利用している通帳
  • 国民健康保険の領収書
  • 国民年金の控除証明書
  • 生命保険、地震保険などの控除証明書(加入している場合)
  • 住宅ローンの残高証明(住宅ローンを組んでいる場合)
  • 扶養家族の収入が分かるもの(扶養家族がいる場合)

基本的にはこの8点ですが、医療控除を受ける方は医療費の領収書なども必要になります。これらのなかでは最長7年間保存の必要がある資料もあるので、大事に保管しましょう。


経費になる領収書

初めて帳簿を付けるときに悩むのが、どこまでが経費なのかというところではないでしょうか。


美容師として収益を得るために必要なものは、経費として計上できます。はっきりと定められた規定がないので「なぜ必要なのか」と問われた時に、きちんと答えられるものを経費にしましょう。


業務委託の場合、講習会の参加費や交通費、勉強のための書籍等も経費として問題ありません。


業務委託は源泉徴収されない

源泉徴収とは雇用されている時に、毎年書いていた年末調整の申告書のことです。そして後日、源泉徴収票が渡されます。筆者は源泉徴収票を見ても意味が分からず、ただ「お金が戻ってくる」と喜んでいました。


雇用主から頂く給料は【給与所得】に区分されるため、支払う雇用主は給与の総額から源泉徴収税を天引きする【源泉徴収義務】があるのです。


会社側が必要な税金などを給料から支払い、その内訳を示したものが源泉徴収票になります。


しかし業務委託で得る収入は給料ではなく【事業所得】になり、採用した美容室側に源泉徴収義務はありません。したがって税金などが何も天引きさていないことになります。


ということは、収入として受け取ったものの税金は全く払っていないことになるので、自分で確定申告する必要があるというわけです。


業務委託で働くということは開業することである

「業務委託で資金を貯めてから自分でお店を持ちたい」そんな方は、要注意です。


資金が少し貯まり「残りは日本政策金融公庫で融資を受けて…と思ったら新規開業資金枠で融資が受けられない」ということがあります。


その理由は業務委託契約書で契約を交わした時点で、店舗はないものの業務委託として開業し、個人事業主になったことになっているためです。


もしも、自分のお店を持つ夢がある場合は業務委託は避けた方が良いかもしれません。


経営者も注目!業務委託契約を結ぶ際には注意が必要です!

業務委託する美容室が法人で資本金1,000万円以上の場合は、下請法と呼ばれる法律が適応されることがあるので採用する美容室側も注意が必要です。


※【下請法】とは、フリーランスや中小規模の下請け業者を守る法律です。フリーランスの場合、採用する美容室と美容師の間で公平な取引が行われ、トラブルを起こさないための法律になります。


以下のような場合、雇用契約に当てはまってしまう事もあります。


  • 美容師が美容室からの業務委託を断れない
  • 美容室から美容業務について指示又は命令をする
  • 報酬として生計維持が可能な固定給を支払う
  • 待機時間中の外出を禁止する
  • 美容師の器具を美容室が準備している
  • 兼業を禁止している
  • 福利厚生を適用している
  • 給与所得として源泉徴収している

このような場合、労働基準監督署の立ち入り検査の対象になることもあるので気を付けましょう。


業務委託経営者のメリットとデメリット

経営者が業務委託で得られるメリットは労働基準法が適用されないため、勤務時間とは関係なく「報酬は売上の○○%」と、時間と報酬を切り離して考えることができることです。


要は拘束時間は関係なく売上から報酬を支払うので、暇な日でも報酬を支払わなくてはならなかった雇用とは大きく人件費が変わってきます。


そして経営者の大きな負担の一つに人材育成があるのではないでしょうか。仕事は出来なくても給料は発生します。しかも人材育成に時間をかけても、スタイリストデビューしたと思ったら退職してしまう事も少なくはありません。


これらがスタイリストに業務委託を利用することで解決できます。


デメリットは業務委託の美容師には指示や命令が出せないため、連携がままならないというところです。


したがって「手軽にスタッフが増やせる」と考えるのではなく「即戦力が増やせる」といった考えで委託するとデメリットと感じにくいでしょう。


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