美容師の働き方・年収・技術
美容師と理容師の違いやダブルライセンスのメリット・取得方法を紹介
2021.11.29 UP
美容師の仕事内容は”容姿を美しくする”こと
美容師の仕事はカットやパーマなどの技術で、容姿を美しくすることと言われています。
【カット】
基本通りにカットすることも重要ですが、頭の形や髪質や毛量を熟知し、乾かした時にきちんと想定した形になるようにカットすることが最も重要です。
【カラー】
カラーを施すことで印象は大きく変わります。白髪染めやオシャレ染めにも流行があり、ただ染めれば良いわけではありません。よりキレイに、よりオシャレに見えるカラーの技術が必要になってきます。
【パーマ】
現在パーマをかける方は減少傾向ですが、ニュアンスの変化が楽しめる施術です。ボリュームを出すことはもちろん、スタイリングを長持ちさせるためにも重要です。
【ヘアセット】
昔の様な日本髪を結うことはほとんどありませんが、簡単にいつもと印象を変えることができるため、ナチュラルなヘアセットをオーダーするお客様は増えています。
理容師の仕事内容は”容姿を整える”こと
理容師の仕事は「整髪」「調髪」とも言われ、カットやシェービングなどで容姿を整えることと言われています。
【カット、刈り上げ】
男性のカットは長さが短いだけに左右対称にカットする正確さが求められます。刈上げは国家試験のカット課題にもなっています。
【シェービング】
美容師がやってはいけない技術で、女性も顔そりに理容室にいく事があります。シェービングをして欲しいから理容室に行く男性も多いです。
【パーマ】
理容室のパーマと言えば「パンチパーマ」「アイロンパーマ」を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし理容室も需要が変わり、ナチュラルで扱いやすいパーマに変わってきています。
【カラー】
理容室のカラーと言えば「白髪ぼかし」が印象に強いでしょう。長時間鏡の前に座っていることが苦手な男性が多いため、短時間でできる白髪ぼかしがメニュー化されたと言われています。
美容師と理容師の違いは
美容師も理容師はどちらも国家資格が必要な仕事です。どちらも髪を切る仕事ではありますが国家試験の内容には、少し違いがあります。
受験科目
大きく異なるのが実技の受験科目です。
【美容師】
- カッティング(レイヤースタイル)
- ワインディング(左サイドパート)/オールウェーブセッティング(フィンガーウェーブ、ピンカール)
※ワインディングもしくはオールウェーブセッティングのいずれか
美容師の実技試験は、頭の丸さがきちんと理解できているかが重要になってきます。
【理容師】
- カッティング(基礎刈り、仕上げ刈り、セニングカット)
- シェービング(シェービング及び顔面処置)
- 整髪(分髪スタイル)
理容師の実技試験は、いかに正確に施術ができるかが重要になってきます。
美容師法と理容師法の違い
美容師法では、美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と記されています。
一方理容師法では、理容とは「頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えること」と記されています。
現在、カットやパーマ、カラーなどは性別にかかわらず、どちらでも施術できます。
その一方で美容師免許を取得することでまつ毛パーマやまつ毛エクステを施術することができるようになります。理容師免許ではできません。
そして理容師免許ではカミソリによるシェービングすることができますが、美容師免許ではできません。メイクのために眉を整えたり、産毛を剃ることは美容師でも可能です。
美容師法と理容師法はお互いに少しずつ改正され「美容室は女性が行くところ、理容室は男性が行くところ」といった法律は緩和されています。
美容師と理容師の年収は意外と低い!?
美容師と理容師の年収は2020年3月に厚生労働省から発表された「令和元年賃金構造基本統計調査」によると約330万円です。
一般サラリーマンの年収平均が433万円と言われていますから、美容師も理容師も年収が低いことが分かります。
なぜ国家資格を持っている美容師、理容師の給料は低いのでしょうか。それは生産性が低いにも関わらず、集客のための低価格化が進んだ結果といえるでしょう。
1人のスタイリストが1日に施術できる客数は限られています。そして来店する客数も限られているのです。
例えばカットが4,000円の美容室【A】と、カットが1,000円の美容室【B】があったとします。単純に考えれば美容室【A】で1時間に1人、美容室【B】で1時間に4人のカットをすればAとBは同じだけ売り上げることができます。
しかし、8時間勤務で美容室【A】に8人カットした時と同じ売り上げを稼ごうと考えると、美容室【B】には32人の来客数が必要になります。
32人ものお客様に来店していただくことは、簡単なことではありません。そして32人ものお客様をカットすることも簡単ではありません。
価格を下げても来客数が増えなければ売上は一向に変わらず、むしろ労働力のみが必要になってきます。
集客のための値下げは、価格に見合った来客数が見込めてこそ成り立ち、労働に見合った給料を支払う事が可能になります。
今現在、美容師や理容師の収入が低いのは自分たちの技術を安売りした結果かもしれません。
美容師と理容師の収入比較
それぞれの年収を算出したデータはありませんでしたが、求人などを見比べてみると美容師と理容師は勤務態体制が違うことに気付きました。
美容師は業務委託や面貸しの個人事業主が増えている一方、理容師は正社員や契約社員、パートやアルバイトとして雇用されているケースが多いです。
美容師は22~70万円、理容師は24~40万円程度の求人が多いですが、個人事業主と雇用といった勤務体制の違いがあるため比較はできませんでした。
理容師に雇用形態が多い理由として、美容師に比べ理容師が大幅に減少傾向にあることがあげられます。
つまりスタイリスト理容師に退職されてしまうと、新たに理容師を探すことが現在では難しくなっているのです。
したがって安定性のある正社員としての長期雇用し、貴重な人材を確保しておきたい経営者の思いが影響していると考えられます。
美容師と理容師のダブルライセンスを持つことで活躍の場はどのように広がる?
美容師と理容師のダブルライセンスを取得することで、今までできなかった施術ができるようになります。
ダブルライセンスを取得することで、活躍の場の選択肢も増えるということです。その中でも特に、女性がダブルライセンスを取得することで活躍できるのが以下の2つです。
- ブライダルサロン
- シェービングサロン
結婚式を迎える女性の産毛やムダ毛を剃る【ブライダルシェービング】はご存知でしょうか。
カミソリでのシェービングは理容師免許がなければできないため、今までは「理容室でシェービングしたもらった」「電気カミソリでやってもらった」という方が多いです。
理容室といえば、昔から男性が行くところのイメージが強いと思います。結婚する年頃の女性が理容室に行くのには、なかなかの勇気がいりますよね。
そして電気カミソリは、キレイに剃ることができないためザラザラ感が残ってしまいます。
そこで近年ブライダルサロンやシェービングサロンが出店し、理容師免許を持った女性がブライダルシェービングを施術してくれるようになりました。
やはり同性ならではのきめ細かさや心遣いは、少し緊張しながらも楽しみな結婚式を迎える女性にとって癒しになるでしょう。
そして2018年に改正された制度により、今まで美容業と理容業を同じ店舗で施術できなかったのが、スタッフ全員がダブルライセンスを取得することで可能になりました。
簡単なことではありませんがダブルライセンス保持者になることで、仕事の幅が広がっていく事は間違いなさそうです。
美容師と理容師のダブルライセンスをとるには?
ダブルライセンスを取得するには、これから取得したい免許の専門学校に行き国家試験を受ける必要があります。
しかし2018年に制度が改正され、既にどちらかの免許を持っている場合、2つの大幅な減免でダブルライセンスを取得しやすくなりました。
- 重複科目の免除
- 再履修時間の短縮(昼間/夜間課程の場合2年→1年、通信課程の場合3年→1年半)
改正前はダブルライセンス取得にかかる期間が4年でしたが、現在は最短で3年です。期間が短くなったことと、それに伴い費用も安くなったためダブルライセンスを目指す方は増えていくでしょう。
最近では、ダブルライセンスが取得できるコースを設けている専門学校も増えつつあります。専門学校を選ぶときに、ダブルライセンス取得を考えている方はカリキュラムの確認をおすすめします。
ダブルライセンスのメリット
ダブルライセンスを取得するメリットは4つあります。
- 美容室でも理容室でも勤務できる
- 提供できるサービスが増える
- 美容と理容両方の知識が得られる
- 開業時に美容師でも理容師でも雇える(管理美容、管理理容は必要)
筆者は美容室で働いていますが、時々「顔そりは、やって貰えないの?」と聞かれることがあります。こんなとき「理容師免許も取得していれば、快く受けられたのに」と思うことがあります。
やはりお客様にサービスを提供する中で、要望に応えられる内容は多い方が良いと思います。顔そりをして欲しいお客様は、改めて理容室に行かなければなりません。
きっと「ここで一緒に出来たら良かったのに」と、思われたでしょう。このようにお客様の満足度をアップさせるためにも、ダブルライセンスは有効です。
働きながら取得できる方法
昼間は働きながらダブルライセンスを取得する場合は
- 夜間課程に通う
- 通信課程で学ぶ
この2つの方法があります。
夜間課程と通信教育の違いは、主に以下の3つです。
- 期間
- 対面授業
- 費用
ダブルライセンスを取得するの場合、夜間課程は卒業まで1年間に対し、通信課程は1年半かかります。
夜間課程は通学での対面授業で学びますが、通信課程はテキストや動画などで自身で学びレポート提出するのが主で、スクーリングと言われる対面授業が時々あります。
通信課程は学校に通わない楽さもありますが、講師の実技を見て学ぶ機会が少ないです。このことから実技の国家試験を受けるときに、難しさを感じるかもしれません。
しかし講師の指導を受けることが少ないため費用も夜間課程が約140万円に対し、通信課程が約50~70万円と安く抑えられます。
問題点は、法律が改正されてから年数が経っておらず、まだまだダブルライセンスに対応している専門学校が少ないことです。
特に夜間課程は少ないため、専門学校を探すこと自体が大変であると予測されます。