美容師の働き方・年収・技術
美容師のハサミの気になる値段は?選び方や人気ブランドもご紹介!
2022.03.29 UP
美容師が使っているハサミの種類とは?それぞれの相場もご紹介
美容師が使用しているハサミの種類は大きく分けて2種類ですが、その中でもヘアスタイルによって様々な種類を使い分けしています。
シザー
シザーはベースのカットに用いられる事が多いですが、刃の形状により用途が異なります。8万円前後が相場で10万円を超えるシザーは高級品と言えるでしょう。
- 直刃…【ブラントカット、チョップカット、刈り上げ】直線的なカットに使用します。近年では、より髪の毛が逃げないように、刃がサメの歯の様にギザギザなものも販売されています。
- 笹刃…【ストロークカット、スライドカット】刃が曲線になっているため、髪の毛が自然に逃げていくのが特徴です。ドライカットや毛量調整に使用されます。近年では、スライドカットシザーとして片刃のものも人気があります。
- 柳刃…【ブラントカット、スライドカット、ストロークカット】直刃と笹刃の中間で、オールマイティなシザーです。数少ないハサミで仕事をしたい人におすすめです。
- 鎌刃…【スライドカット、ストロークカット】刃の中央が湾曲しているのが特徴です。道具マニアの美容師が好むハサミで、使用方法にコツが必要です。
セニング
セニングは主に毛量調整に使用されます。用途により使い分けるシザーとは異なり、スキ率や抜け具合、ラインの付きにくさなどの好みで使い分ける人が多いようです。
セニングの相場は9万円前後と言われています。
- 正刃…静刃がクシ型のもの。
- 逆刃…正刃とは逆に動刃がクシ型で、内側の毛が短くカットされるため、ふんわりとした仕上がりになります。
- 両刃…両方の刃がクシ型になっていることで、髪の毛の抜け具合が良いのが特徴です。
- 段刃…クシ型の刃先が段々になっていることで、毛先を逃しながらカットができます。カットラインがつきにくいのが特徴です。
- クシ刃…クシ型の刃先が平らで切れ味の良く、カット率の少ないのが特徴です。
- V溝刃…クシ型の刃先がV時になっています。V字の凹みが深くなるほど、スキ率が高くなります。
セニングのカット率は10〜80%で10〜20%は毛先の微調整、25〜50%は毛量調整、60〜80%は刈り上げなどに使用されます。
美容師のハサミの値段は何で決まる?ポイントをご紹介
美容師のハサミの値段を決めるポイントは3つです。
- 材質
- サイズ
- ハンドルの形状
- 職人の人件費
詳しく解説していきたいと思います。
材質
ハサミの材質は様々で、値段に大きく影響しています。
- ステンレス鋼…【約1〜7万円】錆びにくく低価格で購入できるため、最初のハサミとして選ばれることが多いです。
- コバルト系ステンレス鋼【約6〜10万円】強度を誇るコバルトが配合されているため、ステンレスのハサミより長く使用することができます。
- ステライト…【約8〜10万円】コバルトに、同様に強い素材であるタングステンを混ぜて造った合金で、非常に硬く刃こぼれしにくいのが特徴です。
- ハイス鋼…【約8〜15万円】「粉末微粒子鋼」とも呼ばれるハイス鋼の特徴は、不純物が少なく摩耗に強いところです。
- ダマスカス…【10〜20万円以上】近年、最も優れた耐久性で知られているのがダマスカスです。機能性はもちろん波のような模様も人気のポイントです。
ハサミのデザインの進化と共に、材質も進化し続けています。研究を重ね、新たに登場した材質は特に強度が高く、値段も比例して高く設定されているようです。
サイズ
ハサミのサイズは好みや用途により異なります。そしてサイズが大きくなればなるほど素材を多く使用するので、値段も高くなるというわけです。
ハサミのサイズは4.5〜10インチまでありますが、美容師が使用しているハサミのサイズは一般的に5〜6インチが多いです。
余談ですが、皆さんは「ヴィダル・サスーン」という名前を聞いたことはあるでしょうか。CMで聞いたことのある、シャンプーやコンディショナーの名前だと思っている人もいるでしょう。
ヴィダル・サスーンはイギリス生まれの有名な美容師で、頭の形を計算しハサミのみで作り出す作品はまさに芸術でした。
そして、このカット技法はサスーンカットとして世に広まったのです。サスーンカットに必要不可欠だったのが小さな4.5インチのハサミでした。
理由は細かく分けて、細かくカットしていくために小回りの利くハサミである必要があったからです。今もなおサスーンカットを愛し、4.5インチの小さなハサミを愛用している美容師がたくさんいます。
一方10インチのハサミは美容師が使用することはほとんどなく、理容師が刈上げ用として使用していたと考えられますが、現在手に入れることは難しいでしょう。
ハンドルの形状
ハサミのハンドル部分の種類は3つに分けられます。
- メガネハンドル…【約3~7万円】メガネのように左右対称で、クセの少なさと値段の安さから1本目のハサミとして購入されることが多いようです。
- オフセットハンドル…【約4~10万円】人間工学に基づいてデザインされているため、手に負担が少なく、長時間使用しても疲れないのが特徴です。
- 3D型ハンドル…【10万円〜】オフセットハンドルをさらに手になじみやすくデザインされており、軽い力でカットできる感覚が人気の理由です。
ハンドルのデザインとは少し異なりますが、意外なところで値段を左右するのが「右利きなのか左利きなのか」というところです。
基本的にハサミは右利きの人向けにデザインされています。右利き用のハサミを左手で使用すると切り口が見えず、まっすぐなラインが切りづらくなります。
そしてカットするときの力が逆に加わり、刃同志のかみ合わせを広げてしまうのです。様々な原因によって髪の毛がうまく切れないため、右利き用を代用することはできません。
しかし左利きの人向けのハサミは購入する人が少数なことと、構造すべて逆になることが理由で値段が約1.5倍にもなるのです。
職人の人件費
美容師のハサミの値段は、ここで決まると言っても過言ではありません。
以前は工場で大量生産されていたハサミも、現在では手作りやカスタムが可能なハサミが増えました。つまり既製品を販売するのではなく、フルオーダー、セミオーダーが主流になってきたのです。
洋服や家具なども、手作りで完成に時間のかかったものには高値が付きます。ハサミも同様で凝ったデザインや、長い研究期間を経て完成した部品が使用されている場合は特に値段に影響しているようです。
美容師のハサミを購入する際の選び方を解説!
ハサミを購入する際のポイントは3つです。
- 顧客の層にあったハサミを選ぶ
- 自分のレベルにあったハサミを選ぶ
- 自分の手にフィットするハサミを選ぶ
詳しく解説していきたいと思います。
顧客の層にあったハサミを選ぶ
皆さんは理容師のハサミが、美容師のハサミより長いものが選ばれていることを知っていますか?
これは理容室の顧客は男性が多く、刈上げをする際に長いハサミの方がより広い面を真っすぐにカットすることができるからなのです。そして理容師が施す直線的なカットにも、長いハサミが適しています。
一方、美容室では女性が多くカットラインが丸いため、小回りの利く長すぎないハサミの方が適しているのです。
このように顧客の層によって、ヘアスタイルも変わってくるため美容室の客層に合ったハサミを選ぶ事をおすすめします。
顧客の層だけでなく、自分がお客様に施したいカットに必要なハサミを選ぶのも良いでしょう。
自分のレベルにあったハサミを選ぶ
スタイリストにランクがあるように、ハサミにもランクがあります。
カット初心者はクセのない初心者向けのハサミがおすすめです。トップスタイリストともなれば自分の実力に合わせ、あらゆるスタイルに対応できる様々なハサミを使い分けているでしょう。
スライドカットに挑戦したいのであれば、スライドカットに適したハサミを選びます。しかし、カット初心者にハイスペックなハサミが必要かというと、必要ありません。
まずはベーシックなカットができ、値段も負担の少ないハサミを選びましょう。あえて高価なハサミを選ぶ必要はありません。
憧れのハサミは、自分の技術が伴ってこそ活かされるというわけです。
自分の手にフィットするハサミを選ぶ
美容師が1日にカットするお客様の数は1人だけではありません。自分の手にフィットしないハサミ
で1日に何人ものカットをすることは疲れるだけでなく、自分の力を100%発揮することもできません。
美容師にとってハサミは手の延長です。思いのままに動かすためには、自分の手にフィットしていることが重要なのです。
自分の手の大きさに合っているか(インチ数)、握った手の形に無理はないか(ハンドルの形)、切れ味は自分の好みか、などのポイントを押さえてハサミを選ぶと良いでしょう。
近年ではデザインの凝ったハサミも増えていますが、見た目よりも自分の手先に馴染むかどうかで選ぶと長く仕事のパートナーとして付き合っていけるでしょう。
そろそろ買い換えたい!美容師のハサミの寿命とは
「ハサミの寿命はどの位だろう」と考えたことがある人も多いのではないでしょうか。短期間で買い替えるのであれば、安い方が良いと思う人もいるかもしれません。
筆者は多くの美容師と一緒に仕事をしたことがありますが、実際にハサミが寿命を迎えた話を聞いたのは1度しかありません。
寿命を迎えたハサミは25年以上愛用されていました。愛用されているということは、どのハサミよりも使用頻度が高いため、研ぎに出す回数も多くなります。何度も研いでいるうちに、刃が薄く短くなり寿命を迎えたというわけです。
しかし、この寿命を迎えたハサミは古いハサミだったので、素材が昔の製法として一般的であった、鋼(はがね)と軟鉄(なんてつ)を貼り合わせたものだったと考えられます。
つまり表面の鋼の部分が研いで無くなり、ハサミが寿命を迎えたのでしょう。
現在のハサミは素材が変わり、全てが鋼で製造されているため寿命を迎えることがなくなってきました。
ただし購入した時の切れ味を長く保つためには、手入れは必須です。
ハサミの手入れ方法
- セーム皮で汚れを拭き取る
- オイルを塗る(ハサミのネジ部分、ハサミの支点、刃の裏スキ部分)
- セーム皮で磨く
素材にもよりますが金属は水と酸に弱く、長時間放置してしまうとサビてしまう事があります。刃がサビてしまうと切れ味が落ちたり、刃こぼれの原因にもなり兼ねません。
長く使うためにも日頃の手入れが重要になってきます。
美容師のハサミを扱う有名ブランドの気になる値段をチェック!
美容師になって必ず耳にするであろう、ハサミメーカーを3つ挙げていきたいと思います。
誰もが憧れるナルトシザー
筆者が、初めて働いた美容室の先輩たちが使用していたのが【ナルトシザー】でした。
ハサミの良し悪しが分からないインターン生でも憧れたナルトシザーを、筆者が手にしたのは美容師になって10年以上が経ってからでした。
50年以上、理美容師のハサミを専門的に作り続けているだけあり、非常にこだわりが強いのが特徴です。
こだわりが強いだけに値段も高く、一番高いシザーは316,800円(税込)、安くても173,800円(税込)ですから技術力が上がってからの購入がおすすめです。
多くの美容師に愛されているOKAWA
熟練職人による手作りのハサミは、一切妥協を許さない【OKAWA】は多くの美容室オーナーオーナーに愛されています。
こだわりぬいたハサミは、自分の指先でカットしている様な錯覚を覚えるほどのフィット感でサビに強く、永く切れるのが特徴です。
値段は85,800円(税込)〜143,000円(税込)とオールハンドメイドの受注生産のハサミとしては、かなり手ごろな値段設定になっています。
飽きの来ないシンプルなデザインや、女性の小さな手にもフィットするデザインが人気を集めています。
分割払い期間のメンテナンス無料トギノン
美容師のハサミと言えば、なかなかの高額になります。
【トギノン】の魅力はハサミの機能性はもちろんの事、支払いが分割(1回3,500~4,000円)でその支払期間の研ぎ代が無料であることです。ほとんどの研屋が、ハサミ一丁を研ぎに出すと3,000~5,000円の費用がかかります。
分割払いで手数料や金利もないことで、まだ収入の低い時期のカット初心者でも購入がしやすいことから、知名度が高まってきています。
値段は76,600円(税込)~147,100円(税込)です。営業マンが工場研修を経てから店舗を回っているため、知識量も多く相談がしやすいのも特徴です。
美容師のハサミはどこで購入できる?定番のお店や通販サイトも
ハサミを購入するときは、本来ならハサミを握り感触を確かめてからの購入が望ましいですが、地方の場合はそうもいかないのが現実です。
欲しいメーカーが明確な場合は公式HPから購入可能なところも増えています。以下のメーカーはネットでの購入が可能です。
- OKAWA
- ヒカリ
- HAYASHI SCISSORS
- ROYAL MASTER
- 武芸社
美容師のハサミは通販サイトでも購入できます。ハサミを並べているだけの通販サイトではなく、ハサミについて様々な情報が得られる通販サイトがおすすめです。
ハサミ屋はやし
理美容師用のハサミから、トリマー用のハサミまで扱っている【ハサミ屋はやし】は多くのメーカーを取り扱っています。
扱っているハサミには特徴が細かく書かれているので、初めて購入する人も選びやすいでしょう。研ぎの依頼もでき、ヒットポイントやパッキンが破損している場合も研ぎ代のみで無料交換してくれるところもおすすめの理由です。
特殊加工(小指掛け取り、ネームマーキング、ギザ刃加工など)も請け負っているので、自分だけのオリジナルのハサミを手に入れることができます。