美容師の独立・開業
フリーランスの美容師とは?マッチングサービスや給料を解説!
2021.10.25 UP
フリーランスの美容師とは?業務委託・面貸しなどの働き方があります
フリーランスの美容師とは、お店を持たずに既に存在する美容室の一角を借りたり、業務委託として報酬を受ける美容師の事を言います。働き方は2通りです。
【業務委託】
業務委託は美容室が業務を委託し、顧客を施術することで報酬が発生します。
【面貸し】
面貸しはミラーレンタルとも言われ美容室のスペースを借り、自分の顧客もしくは集客したお客様を施術し、売上の中から場所代を支払います。
「独立・開業」「フリーランス」の違いとは?
みなさんは【独立・開業】【フリーランス】の違いを考えてみたことはあるでしょうか。全く違うと思っている方も多いようですが、大きな違いは2つしかありません。
- 自分の店を持つか持たないか
- 抱えるリスクの大きさ
「これだけ?」と思われるかもしれませんが、フリーランスとは雇用されずに収益を得ることから、個人事業主になります。
個人事業主になるということは、お店を持つ場合と同様に【開業届】や【青色申告申請書】を税務署に提出し、確定申告などを毎年各自で行う必要があります。
したがって【独立・開業】と【フリーランス】に、法的な違いはありません。
ここから【独立・開業】と【フリーランス】の違いについて、詳しく解説していきたいと思います。
自分の店を持つか持たないか
一般的に独立・開業とは、自分でお店を持ち経営することを表すことが多いようです。
自分のお店ですから、早朝の予約を受けたり遅い時間の予約を受けたりと、お客様の要望に添うことが可能になります。
一方フリーランスは、他の経営者が経営している場所を借り収益を得ます。勤務体制は自由ですが、経営者による営業時間に合わせなければならない制約を受けることもあるでしょう。
したがってフリーランスの自由な働き方は、制約の範囲内の自由と認識しておいた方が良さそうです。
抱えるリスクの大きさ
お店を維持することは思いのほか大変で、新規オープンした美容室の約50~60%は1年以内に閉店、3年以内に90%が閉店しているのです。
数字を見るだけで、自分でお店を持つことにリスクを伴うことを理解することができます。これがフリーランスにはない、お店を持つ方が抱えるリスクです。
お店を持たないフリーランスは貸してくれる場所さえあれば、どこでも働くことができます。もし借りている場所が閉店しても、他に場所を貸してくれる美容室を探せば良いので、このようなリスクは低いのです。
フリーランスの美容師のメリットとデメリットを理解しよう!
フリーランス美容師として働く前に、メリットとデメリットを知っておきましょう。
フリーランス美容師のメリット
- 働いた分収入が増える
- 拘束時間が短い
- 人間関係のストレスが少ない
- 開業のための資金が必要ない
- 店を持たないため経営リスクがない
フリーランスの美容師として働くことで、雇用されている時のデメリットが大きく解決されます。
スタッフの協力のもと売上を上げていくシステムではないため、人間関係の煩わしさはありません。そしてスタイリストだけが働いているため、遅い時間まで残っての練習会もなく、仕事が終われば帰宅できます。
何より働いた分が報酬になり、お店を持つ時の様な開業資金も必要がないため気楽に個人事業主になれると言えるでしょう。
フリーランス美容師のデメリット
- 保険や年金に個人で加入する必要がある
- 仕事のヘルプがいないためフル稼働する必要がある
- 自分で集客しなけばならない
- 経理を行う必要がある
- 教育環境がないため個人で講習を受けなければならない
雇用されないことで自由にはなりますが、自分でやるべきことは大幅に増えます。
アシスタントがやってくれていたシャンプーや準備、片付けは全部自分でやらなければなりません。つまり、掛け持ちでお客様の施術に入る事ができないので、雇用されていた時よりも売上は上がりにくくなってしまうということです。
そして今まで美容室が行ってきた集客も、売上を伸ばすためには必須でしょう。更に売上を伸ばすための技術の向上も、自分で進んで講習に行くなどの工夫をしないと伸び悩むことになりかねません。
フリーランスにはどのような人が向いている?向いていない人は?
フリーランスの美容師は誰でもなれるのかというと、そうではなさそうです。何事も向き不向きはありますよね。
フリーランスという働き方も例外ではありません。
フリーランスが向いている人
フリーランスとして働くのが向いている人は「自主的に行動を起こせる人」です。
フリーランスのイメージと言えば【自由】【稼げる】ですが、どちらも叶えるためには行動を起こす力が必要です。
例えばSNSで情報発信し集客したり、新しい技術を学ぶための努力を惜しまない人に対してはファンが付きやすいため、雇用されるよりもフリーランスとして働いた方が稼げるでしょう。
そして自分の目標がきちんとある人の方が、達成のために続く傾向にあります。
フリーランスが向いていない人
フリーランスとして働くのが向いていない人は「受け身の人」です。
フリーランスとして働く場合に、積極性は必須になります。与えられる仕事を待っていても、一向に収益は上がりません。
業務委託であれば、集客は美容室がやってくれるでしょう。しかし面貸しの場合は、集客は自分で行う必要があります。「SNSは面倒」「情報発信は恥ずかしい」などと言ってはいられません。
自由という言葉の響きは良いですが、自由ということは自分が何をするべきか考えられる方でなければ、フリーランスという働き方は厳しいでしょう。
フリーランスの美容師になったら必要な手続きとは?開業届や確定申告を忘れずに
フリーランス美容師として働くことが決まったら、税務署に行き【開業届】を提出する義務があります。出さなかったからといって罰則はありませんが、開業届を提出することによって得られるメリットは大きいです。
【開業届を提出するメリット】
- 青色申告(日々の取引を記帳し、記録に基づいて確定申告する制度。最大65/55万円の控除が受けられる)ができる…開業届を出していない場合、白色申告(1年間の売上合計金額から必要経費を差し引き所得金額を計算して確定申告する制度。特別控除や税金を軽減する特典はない。)をすることになり控除が受けられません。
- 小規模企業共済に加入できる…退職金の無い美容師が退職金として積み立てができる制度です。加入には確定申告の写しが必要ですが、初年度は確定申告をしていないため開業届の写しが必要になります。
- 補助金、助成金の申請ができる…2020年のコロナ禍で、補助金や助成金制度がありました。これらの申請には開業届が必須になります。
- クレジットカードの作成ができる…フリーランスになるとクレジットカードの申請が困難になります。開業届を提出することで審査に通りやすくなります。
そして青色申告をする場合は【青色申告承認申請】も提出しておきましょう。白色申告の場合、控除が受けられなくなってしまいます。
他にもフリーランスの場合は毎年確定申告を行う必要があります。雇用されていた時は年末調整の書類を提出するだけで簡単でしたが、確定申告をする為には経理の知識も必須です。
そして忘れがちなのが保険等の手続きです。雇用されていた時の社会保険は解約されるので、自分で【国民年金】【国民健康保険】に加入しなくてはなりません。
フリーランスの美容師の給料はどのくらい?一般的な美容師との差を徹底比較!
一般的な雇用されている美容師の年収は平均約300万円と言われています。
一方フリーランスの収入は、美容師により大きく異なるようです。その理由は勤務体制が個々で違うからです。
2018年にフリーランス協会が発表したデータを見ると【年収100~300万円】は全体の25%、【年収300~500万円】も全体の25%と、収入の幅が広いです。
この数字からも稼いでいる人もいれば、稼いでいない人もいるということが分かります。自由ではありますが、雇用されている美容師よりも安定性はないということです。
ちなみに都内の表参道で面貸しで働いていた美容師は、月間売上70万円で収入は45.5万円でした。指名の人数にもよりますが、雇用されている時の約2倍の収入だそうです。
目安として指名客で月に50万円売上げることができれば、雇用されている時の収入を上回るとも言われていますが、簡単に考えてはいけません。
フリーランスで収入を上げるには新規の指名客を掴む努力が必須
近年では、どの美容室も顧客管理が厳重になっています。そのこともあり雇用されていた美容室から、お客様を連れていく事が難しいのが現状です。
顧客とはいえ自分の顧客ではなく、お店の顧客であることを念頭に置いて考えておきましょう。
そして残念なことに、いつも指名をしてくれるお客様でも「この美容室で施術してもらうなら、あなたが良い」という方も少なくはないのです。美容師が思っている以上に、お客様は美容師に依存していません。
このように考えるとフリーランスに転職し稼ぐためには、新たな指名客を掴むことが必須になってきます。「フリー客をたくさんこなせば良い」と思っていても、来店する客数には限りがあります。
やはり「フリーランスのあなたが良い」と思ってくれるファンを作らなければ、収入には繋がりにくいということです。
フリーランス美容師のためのマッチングサービスとは?
フリーランス美容師の働く場所を探す方法は、業務委託は美容室自体が通常営業しているので求人サイトで探せます。
しかし意外と難しいのが面貸しの場所を提供している美容室を探すことです。自分が借りたい場所で、面貸しをしてくれる美容室があったら良いですよね。
「予約の入っていない時間に、場所を有効活用したい」そんなオーナーにもおすすめなのが、場所を借りたい美容師と場所を貸したい美容室をマッチングしてくれるサービスです。
例えば「明日の〇時に場所を借りたい」こんなわがままが叶ってしまうのがマッチングサービスです。
あらかじめ登録をしておき、自分が利用できそうな場所の美容室をオンラインで見学しておきます。そしてオンラインで空き時間をチェックし、予約します。
歩合の割合は美容室により異なりますが、60%前後の美容室が多いようです。簡単に面貸しできる美容室が探せるので、参考までに覗いてみるのも良いかもしれません。