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美容師の独立・開業
美容師の個人事業主とは|必要な手続きやメリット・デメリット
2022.03.29 UP

美容師の個人事業主とは?業務委託契約と雇用契約との違いを解説

個人事業主は株式会社などの法人を設立せずに、個人で独立し事業を行っている人の事を言います。近年良く耳にするフリーランスとして働いている人も個人事業主の一種になります。


つまり個人事業主が店舗を構えず、業務委託や面貸しで働いていることをフリーランスというわけです。


店舗を構えずに働いている面貸しや業務委託契約は雇用契約と働き方が似ているため、違いを知らない人も多いようです。


業務委託契約は個人事業主として美容室と契約し、委託された仕事に対しての報酬を受け取ります。つまり人手が足りない時にだけ、仕事の委託を受け働くのが業務委託契約です。拘束時間は短いものの、保証は一切ありません。


一方雇用契約は、いわゆる正社員になります。美容室に属し美容室のルールに沿って仕事をし、給料を受け取ります。つまり仕事がなくても決まった時間は美容室にいなければなりませんが、広い範囲で保証されているのが雇用契約です。


美容師が個人事業主として働くメリット・デメリット

美容師が個人事業主として働く場合、メリットもありますがデメリットもあります。


個人事業主は様々なことを自分で決められるため、自由な時間が作りやすいです。何時間働き、いつ休むかなどが自分で決められ、雇用されていた時の長い拘束時間や土日に休めなかった事が嘘のように思えるかもしれません。


そして美容室によっては毎日行われていた勉強会や、休日の講習会からも解放されます。つまり給料の発生しない残業がほぼなくなるのです。


人間関係を築くのが苦手な人にも、楽な働き方として選ばれることが多いようです。このようにメリットが多い一方で、自由に働くということは全ての責任が自分にあります。


「働く時間が短ければ給料が少ない」「率先して学びの機会を作る必要がある」さらに個人事業主ということは、今まで雇い主がやっていたことを全て自分で行わなければなりません。


保険への加入や確定申告など新たな勉強も必要になってくるでしょう。


美容師の個人事業主の年収は?正社員と比較!

美容師の平均年収は300万円が相場と言われています。一方個人事業主はフリーランスの場合、100~500万円とかなり年収に幅があるのが特徴です。


これはフリーランスが自由に勤務時間を決めることができることにより、短時間労働している人やより多く稼ぐために長時間労働している人などそれぞれの働き形態の人がいるためです。


そして店舗を構えた場合は立地条件などにより収入も大きく異なってきますが、売上の約10~20%程度が収入と言われています。


美容師の個人事業主になりたい!キャリアの選び方や必要な力とは?

個人事業主として働く場合、業務委託、面貸し、開業の3つの働き方があります。


その中でも近年、増えているのが業務委託と面貸しです。この2つの働き方は、店舗を構える必要がないためリスクが低いところが魅力です。


特に業務委託に関しては集客や顧客管理の必要もありません。


業務委託の場合の多くは、美容室の客単価が低い傾向にあり、その分客数が多いです。客数が多い分、仕事には入りやすいですが仕事の早さが必要とされるでしょう。


面貸しの場合、基本的に集客や顧客管理は自分で行います。自分の顧客以外で客数を増やしたい場合は、インスタやツイッターなどのSNSで情報発信し、集客する必要があります。


場所は借りるものの、店舗を構える時と変わらない経営力も必要になってくるでしょう。とは言え、店舗を構えるような経費を考える必要がないので開業するよりも気軽に個人事業主として働けます。


そして開業し、自分の店舗を構える場合に必要なのは、何よりも行動力です。自分がどう動くかに店舗の運命はかかっています。お客様を待っているだけでは来てくれませんし、来てくれても必ず次も来てくれるとは限らないのです。


常に考え行動し、失敗から多くを学び、ひるむことなくチャレンジし続けなければ簡単に閉店に追い込まれてしまいます。しかし可能性が無限なのも開業なのです。


美容師の個人事業主に必要な手続きをチェック!

美容師が個人事業主として働く場合にやっておくべき手続きがあります。


  • 開業届、青色申告承認申請書の提出
  • 開設届を提出し美容所登録
  • 国民健康保険への切り替え
  • 国民年金への加入

それぞれを詳しく解説していきます。


開業届、青色申告承認申請書の提出

個人事業主として働く場合、【開業届】と【青色申告承認申請書】を納税地の税務署に提出する必要があります。


フリーランスの場合、店舗を構えないため開業届を提出せずに収入を得ている人もいますが、特に罰則はありません。


しかし「青色申告が出来ない」「屋号での口座開設ができないない」「補助金・助成金の申請が出来ない」などデメリットが大きいです。


【開業届】と【青色申告承認申請書】の提出期限は開業から1ヶ月と定められているので、忘れないよう注意しましょう。


どちらの書類も国税庁のHPでダウンロードできますが、税務署に行き個人事業主として働くことを伝えれば必要な書類や書き方、やっておくべきことを丁寧に教えてもらう事もできます。


国民健康保険への切り替え

働いていた美容室で社会保険に加入していた人は、退職した日から14日以内に国民健康保険に切り替える必要があります。


手続きは、住民票のある市町村窓口で出来ます。


【必要書類】


  • 健康保険をやめた証明書(資格喪失証明書もしくは退職証明書)
  • マイナンバーが確認できるもの(マイナンバーカード、通知カード、マイナンバー記載の住民票など)
  • 本人確認ができるもの(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)

保険料を口座振替にする場合は、通帳やキャッシュカードと金融機関届出印も持っていくと良いでしょう。


国民年金への加入

美容室で雇用されている際に、給料から年金保険料が天引きされていた人は新たに国民年金に加入する必要があります。


退職してから14日以内に住民票のある市町村で手続きを行います。年金手帳もしくは基礎年金番号通知書を忘れずに持っていきましょう。


ここまでは、個人事業主として働く人全てが行う手続きです。以下の手続きは店舗を持ち開業する個人事業主の手続きになります。


開設届を提出し美容所登録

店舗を構え、個人事業主として働く場合は美容所登録が必要です。


保健所に【開設届】を提出し、チェックしてもらいます。構造設備等に問題がなければ美容所登録が完了します。


このチェックに合格しないと開業はできません。提出期限は開業日の一週間前ですが余裕をもって開業届を提出するようにしましょう。


美容所登録が完了する前に営業してしまった場合、罰金もしくは営業停止処分の罰則規定が課せられるため注意が必要です。


開業届の他にも必要な書類があります。


  • 背説の構造設備の概要
  • 施設の平面図
  • 施設付近の見取り図

【雇用する場合】


  • 従業員名簿
  • 従業員全員の美容師免許、管理美容修了証
  • 医師の診断書
  • 登記簿謄本(法人)、外人登録証明書(外国人)

美容所登録のための登録のための検査手数料は地域によって異なりますが、20,000円前後かかります。


確定申告で損しないために!美容師の個人事業主が経費で落とせるものを紹介!

美容師が個人事業主として確定申告を行う際に、どこまでが経費として落とせるのか分かりにくいものが多いようです。


開業し店舗を構えた場合の経費を見てみましょう。


【固定費】


家賃/人件費/水道光熱費/材料費/通信費


【その他の経費】


消耗品費/交通費/修繕費/広告費/保険料/研究費/各種税金(消費税、個人事業税、固定資産税、自動車税、不動産取引税、登録免許税、印紙代)など


業務に必要なものは全て経費として落とせます。しかし経費の中でも少し注意が必要なものもあるようです。


経費として計上するのに注意が必要なもの

  • 住居兼店舗の家賃と光熱費
  • 接待交際費
  • 衣服代
  • 美容室代

詳しく解説したいと思います。


住居兼店舗の家賃と光熱費

テナントを借りている場合は家賃や光熱費全てが経費として落とせますが、住居兼店舗の場合は敷地総面積の何%を店舗として使用しているかによって経費にできる金額が計算されます。


接待交際費

取引先の人と会食やミーティングをした場合は経費として落とすことができます。しかし相手が友人の場合は経費になりませんので、注意しましょう。


衣服代

美容師と言えばファッションにも気を使う為、衣服代は経費として計上したいところですがプライベートでも着用する衣服は経費にはなりません。


経費として計上したい場合は、衣服も作業服とプライベートのものを完全に分けるようにしましょう。


ちなみにアクセサリーは業務に必要なものではないため、経費としては落とせません。


美容室代

個人事業主で従業員が居ない場合やフリーランスの場合は、カットをしてもらうために美容室に行く必要があります。


基本的にはプライベートと区別が付きにくいため、美容室代は経費にはなりません。


しかし「他店の技術を学びに行く」「知り合いの美容師にカットしてもらう」場合は研究費や接待交際費として経費に計上できます。


ちなみにフリーランスの場合、働く店舗で材料等が準備されているため経費に計上できるものは少ないように感じますが、細かく見ていくと様々な経費として落とせるものがあります。


道具(消耗品費)、講習費(研究費)、勉強に使う雑誌(新聞図書費)、お客様との連絡に使うスマートホン(通信費)、シェアサロンの月額使用料(地代家賃)、交通費などきちんと領収書やメモを残しておきましょう。


美容師の個人事業主がやっておくべき節税対策!

個人事業主として働くのであれば、ぜひ節税対策をしておきましょう。


  • 青色申告を利用する
  • 経費の計上は漏れのないように

詳しく解説していきたいと思います。


青色申告を利用する

確定申告には【青色申告】と【白色申告】がありますが、節税を考えると作業は増えますが青色申告がおすすめです。


青色申告には大きく3つのメリットがあります。


  • 最大55万円の所得控除
  • 赤字の3年間繰り越しが可能
  • 家族への給与経費化の上限がない(青色専従者)

2018年の法改正により2020年から青色申告の所得控除額は65万⇒55万円に、基礎控除が38万円⇒48万円に変更されました。


ただし、以下全ての条件を満たすことで所得控除が65万円のまま申告することができます。


  • 複式簿記での帳簿を付ける
  • 賃借対照表及び損益計算表の添付
  • 申告期限内に確定申告書を提出
  • 電子帳簿保存かe-Taxで申請
  • 家事関連費のうち事業要費用が50%以下でも経費として計上可能

ちなみに白色申告は簡単な帳簿でよいものの、節税効果は半減します。


  • 家族への給与経費化は85万円まで
  • 家事関連費のうち事業用費用が50%以下だと費用として計上不可

青色申告の場合、経費として計上した領収書は7年間保存する必要があります。少し手間はかかりますが大きな節税になりますので、ぜひ取り組んでみましょう。


経費の計上は漏れのないように

帳簿をきちんとつける事が、節税効果を発揮します。「あとでまとめてやればいい」などと思っていると、経費の計上漏れなどが発生しやすくなります。


消耗品や交通費、講習費や宣伝広告や光熱費などはもちろんですが、ハサミの購入や研ぎに出した時も経費に計上することができます。


10万円未満のハサミであれば消耗品として、10万円以上のハサミであれば工具器具備品として資産計上し、減価償却費として経費処理を行います。


そして忘れがちなのがハサミの研ぎ代です。2ヶ月に1度研ぎに出しても、大きな出費になります。修繕費として経費に計上しましょう。


ただし何でも経費に計上することは気を付けた方が良いです。


  • 接待交際費…飲食代の50%まで。年間計800万円の上限がある。(資本金1億円以下の場合)
  • 高額な備品…1個当たり青色申告は30万円、白色申告は10万円を超えると全額経費計上不可。(3年に分け減価償却)

経費に計上できる税金

個人事業主の美容師が年間所得が290万円を超えた場合、年間所得の5%の個人事業税が課せられます。


そして店舗を構える個人事業主の場合、内装費や美容器具等に固定資産税が課せられます。


支払った個人事業税、固定資産税は「租税公課」として経費に計上できます。忘れずに計上しましょう。


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