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美容師の働き方・年収・技術
理容師はきついってホント?理容師あるあるや業界の将来性を紹介!
2022.01.27 UP

理容師の仕事内容って?美容師との違いを徹底比較!

理容師と美容師は似ている仕事だけに、それらの違いを知らない人も多いのではないでしょうか。


理容師と美容師は働く場所の違いだけではなく、仕事内容や国家試験の受験内容にも少し違いがあるのです。


法律の違い

明治10年頃は「理髪店」と呼ばれ、理容師と美容師を総称して理容師と言われていました。


1947年に交付された理容師法には「理容とは頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること」と記され、1957年に交付された美容師法には「美容とはパーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と記されています。


戦後から10年以上が経ち、女性たちが美しくなるためのオシャレが許される時代になり、理容師法から美容師法が独立する形で交付されたのだと考えられます。


この法律の交付により、国家試験も理容師と美容師が区別されるようになりました。


国家試験の違い

理容師、美容師共に国家試験は筆記試験と実技試験が実施されます。


筆記試験での違いは理容技術理論と美容技術理論の科目のみですが、実技試験は課題が全て違います。


【理容師免許国家試験】


  • カッティング(基本刈り、刈上げ刈り)(セニングカット)
  • シェービング及び顔面処置
  • 整髪

【美容師免許国家試験】


  • カッティング(レイヤースタイル)
  • ワインディングもしくはオールウェーブセッティング

実技試験の課題を見てみると、理容室はカットと顔そりをするところであり、美容室はパーマをかけるところであるという昔からの考え方が変わっていないことが伺えます。


そして実技試験課題で分かるように、顔そりは理容師のみが施せる技術です。そして毛髪のパーマは理容室でも施術可能ですが、まつ毛のパーマやエクステは美容師のみに許されています。


このように出来る施術が違うことで、活躍できる場所も様々です。


活躍できる場所の違い

取得した免許の違いによってできる施術は変わるため、活躍の場も変わります。


【理容師の活躍例】


  • ヘッドスパサロン
  • シェービング専門店
  • レディースシェービング店(女性理容師)
  • 訪問理容

【美容師の活躍例】


  • ヘッドスパサロン
  • アイラッシュサロン
  • 着付け
  • メイクアップアーティスト

理容室で働き、取得した技術に加えて専門的な知識を学ぶことで活躍の場は広がっていきます。


理容師あるあるきついこと4選紹介

どの職業にも仕事上きついことはありますが、理容師も同様です。特に多くの現役理容師が口をそろえて言うのが以下の4点です。


  • 新人時代の低所得
  • 長い拘束時間
  • 年齢と共に体がきつくなる
  • お客様からのクレーム

詳しく解説していきたいと思います。


新人時代の低所得

理容師のアシスタント期間は見習いで、できる仕事が少ないため月収は低いです。ウェブサイトなどを調べていると、理容師の見習い時期の給料は月収15万円と書かれているのを見かけます。


しかし現在では最低賃金が上がっていているため、最低賃金の低い沖縄でも約16万円、最低賃金の高い東京では約20万円程度です。


「その位ならきつくないのでは」と思った人もいるでしょう。大卒サラリーマンの初任給が約20万円と言われているので、月収自体に大きな違いはありません。


しかし年収で考えると、年間で月収の約2~3ヶ月分のボーナスが支給されるサラリーマンに対し、理容師は年間で約6万円が平均値です。


同じくらいの年齢で、ボーナスだけで約40~60万円もの差は非常に大きいです。


長い拘束時間

理容師にとって、一人前の技術者になるための練習は欠かせません。これが拘束時間が長くなる理由です。


企業に就職した友人が仕事が終わり飲んでいる時間に、理容師は技術者を目指し黙々と練習します。「遊びたい」「帰りたい」と思う人もいるでしょう。


特に技術が身についていない時の練習には面白さを見出すことができません。技術をマスターするまでは、この練習会という拘束時間をきついと感じる人の方が多いようです。


年齢と共に体がきつくなる

若い時は気力で何とかなったハードな仕事も、歳を追うごとにきつくなってきます。


理容師の立ち仕事や、シャンプーやシェービングの姿勢は思いのほか足腰に負担がかかります。長年続けてきた姿勢で、腰痛や肩こりに悩まされる人が多いようです。


このような体のトラブルでドクターストップがかかり、離職となる場合もあります。


お客様からのクレーム

理容師をしていて、精神的に一番きついのがお客様からのクレームです。


自分で「クレームがくるかもしれない」と思うこともあれば、思いもよらぬところでクレームが来ることもあります。


理容師になりたての頃のクレームは特に次の仕事に影響し、なかなか怖さをぬぐいきることができないこともあるようです。


理容師の将来性はある?人手不足な理由とは

近年理容室は減少傾向にあります。そして慢性的な人手不足に悩まされている理容室も少なくありません。


理容室の人手不足の理由は3つあります。


  • 美容室の増加
  • 生産性の低さ
  • 労働環境の厳しさ

それぞれを詳しく解説していきます。


美容室の増加

厚生労働省の調査によると、令和元年の美容室の軒数は25万4,422軒と過去最高を更新しました。一方理容室は減少傾向に歯止めがかからず、3年前から約2,000軒減り11万7,266軒でした。


この美容室の増加が理容師の人手不足に大きな影響を与えているのです。


近年では男性も美容室を利用しカラーやパーマで変化を楽しむようになり、テレビやSNSで情報発信している美容師に対し憧れを抱く傾向が強くなりました。


そして美容師が作り上げる自由なヘアスタイルに注目が集まることで、職人気質の強い理容師を目指す人が減ってしまったというわけです。


理容室の店舗の減少速度や需要よりも、理容師の人材が少なくなってしまっているのです。


生産性の低さ

理容師の仕事は1人の技術者が、1時間に施術できるのは多くても2人程度でしょう。


このことからも生産性の低さは明らかです。


さらに厚生労働省の調査によると理容室の約65%が、2人以下のスタッフで営業している事が分かりました。


同じ時間に3人のお客様が来店した場合、技術者が2人いても1人は待つことになります。個人事業主で1人で経営している場合は、2人が待つことになります。


この状況でも常連のお客様であれば待ってくれるでしょう。しかし、初めての来店のお客様はどうでしょうか。きっとお店を後にする人が多いはずです。


つまり生産性が高ければ多くの技術者は必要ありませんが、生産性が低いために常に人手不足であると感じさせているようです。


労働環境の厳しさ

理容室は慢性的な人員不足で、多くの理容師が「激務である」と感じているようです。スタッフが少なければ、一人当たりの仕事量は増えます。さらに人員不足からくる生産性の悪さは、労働時間も長くしてしまうのです。


例えば1日に20人のカットとシェービングのお客様を、2人の技術者に振り分けたとしましょう。1人に必要な時間を60分で考えると、10時間かかる事になります。


一方、同じ客数を技術者2人とアシスタントで分担した場合、技術者が30分でカットしアシスタントがシェービングに入るパターンが一般的です。


アシスタントがヘルプしてくれることで、技術者は5時間で10人カットすることができます。つまりアシスタント付きの技術者が7時間で13人の施術に入り、技術者のみで7人の施術に入ることで同じ作業量を7時間で終えることができるのです。


しかし多くの理容室が、少人数での営業を余儀なくされています。結果、休憩も取りにくく、立ちっぱなしの長時間労働になってしまう事が多いのです。


そして職人気質の強い理容師ならではの師弟関係は今もなお続いており、若い人は受け入れることが難しいと感じ、離職を考える人も少なくありません。


美容師と理容師の給与・独立のしやすさ・離職率などを比較

理容師と美容師は似た職種ですが、詳しく見ていくと違う部分も多く見られました。


ここからは給料、独立のしやすさ、離職率を比較して見ていきたいと思います。


給料の平均額

正社員 アルバイト・パート 契約社員
理容師 368万円 998円 1,526円
美容師 321万円 979円 1,449円

※正社員は年収、アルバイト・パート、契約社員は時給

上記の数字を見る限り「理容師の方が給料が良い」と思う人が多いでしょう。しかし数字あくまでも平均値です。


実際に理容師の給料は262~524万円と幅が狭く、美容師は311~1,064万円と幅が広いです。この理由は、美容師の働き方の選択肢が増え給料にも差が出てきているからと考えられます。


一方、理容師は新しい人材確保が難しいため正社員雇用が一般的で、給料の幅も狭くなっているようです。


独立のしやすさ

理容室と美容室の独立のしやすさは、初期費用で考えると美容室のほうがしやすいでしょう。


揃える機材に大きな違いはありませんが、唯一大きな違いはセット面で使用される椅子とセット面毎に設置されているシャンプー台です。


椅子 シャンプー台
理容室 8~45万円
(リクライニング)
28万円
美容室 21,000~75,000円 25,000~52,000円

理容室のシャンプーは、お客様が前かがみの姿勢を取ることが多いです。そのため美容室のシャンプー台に比べ、幅も広く奥行きがあります。


美容室のシャンプー台は移動式のものや壁に取り付けるもの、孤立したバックシャンプー用のシャンプー台などがありますが理容室のようにセット面毎に設置されているわけではありません。


つまり設備を整えるうえで、購入する台数が違ってきます。そして理容室の椅子はシェービングするためにリクライニング機能は必須です。


ただ背もたれが倒れれば良いのではなく、倒れた時の安定感が重要なため理容室の椅子は軽くても手動のもので56㎏、電動で118㎏にもなります。


美容室に比べ理容室はメインとなる設備が高額なため、美容室の方が独立しやすいと言われているようです。


離職率

理容師と美容師のそれぞれの正確な離職率統計はありませんが、美容師の方が離職率は高いと言われれいます。


理容師よりも美容師は人数が多いため、至る所で競争が起こりやすいようです。他にも結婚や出産をきっかけに離職する女性は、美容師免許保持者が多いので美容師の方が離職率も高くなっています。


理容師の辛さをどう乗り切れば良い?体験談を紹介

ブラック企業と言われることもある理容業界は、働いていて辛いことがたくさんあります。


辛いことやその乗り切り方を紹介していきます。


給料が安くてやりがいが感じられない

他の職種に比べハードな理容業ですが、意外と貰っている給料の低さに気付いていない人も多いようです。他の職種の友人に給料額を聞いたときに、初めて自分の給料の低さを知る人もいます。


現実を知り、やりがいを感じられなくなる人もいるでしょう。


しかし、どの職種も昇給は簡単ではありません。まずは自分のスキルアップに力を入れ、指名客を増やすようにしましょう。


指名客が増えれば指名料が給料にプラスされたり、成績を評価され役職を任せられる可能性もあります。


やりがい=お金ではなく、やりがい=お客様からの信頼と考え働くことで、後から給料は上がってくるでしょう。


拘束時間が長い

意外と知られていないのが、美容室よりも理容室の営業時間が長いことです。


多くの美容室が10時に開店し19時に閉店しているところを、理容室は8時に開店し20時に閉店のところが多く見られます。


この理由は、男性と女性の行動している時間帯の違いからのようです。基本的に女性は家事をすることを考え、昼間に美容室に行くことが多いです。


男性は仕事帰りでも立ち寄れるよう、理容室の閉店時間は遅いのであろうと考えられます。現在では男女関係なく働いている人が多いので、古い考えのまま今に至っているのかもしれません。


拘束時間が長くても休憩時間がきちんと取れるならまだ良いですが、それもままならない場合は大手の理容室に転職を考えても良いでしょう。


大手の場合、従業員が多いため就業規則がきちんと設けられています。


人間関係

職人気質の強い理容師は、人間関係に悩み退職する人も多いようです。


拘束時間が長い上に、苦手な人がいると出勤することも憂鬱になるでしょう。大きな理容室なら逃げ場もありますが、個人店の場合は難しいですよね。


転職を考えるのも良いと思いますが、次の理容室に苦手なタイプの人がいないとは限りません。まずは逃げる事よりも「なぜ苦手と感じるのか」を考えてみましょう。


もしかしたら自分が変わることで、相手も変わるかもしれません。そして職場には仕事をしに来ているということをメインに考えましょう。


人間関係が良好であることに越したことはありませんが、職場は学校ではありません。ほどほどで良しと考えることも、うまく人間関係を築いていくコツです。


重労働過ぎる

慢性的な人手不足で、重労働を強いられている理容師は多いようです。


人手不足で休憩が取れない、労働時間が長い、サービス残業など様々な悪条件が重なり、休日があっても「疲労感が抜けない」という人も少なくありません。


理容師の重労働は今に始まった事ではないため「これが当たり前」と思う経営者や先輩が多いのも事実です。


しかし重労働の中で、働き続けることは困難です。転職をしても理容室の古い考え方は、どこも似ている傾向にあります。


まずは短時間でも良いので順番に休憩を取れるようにならないか相談してみましょう。人は空腹のまま働き続けると、思考回路が上手く回らなくなり作業が遅くなります。


15~20分でも休憩が取り食事をすることで、作業効率が上がるというわけです。


このような提案はなかなか言いづらいものでもあり、今までも誰も言ってこなかった結果が今の状況になります。


もし、相談して周りからの当たりが強くなるようであれば転職した方が良いでしょう。ずっと働いていても我慢の継続になるだけです。


理容師をやっててよかったことって?本音を調査

ここまで理容師として働く上できついことを述べてきましたが、きついことばかりではありません。


やりがいを感じている理容師も多く、やっていて良かったと思える瞬間も多いのです。


例えば多くのお客様と話していると、様々な情報が入ってきます。普段、自分が興味を持っていないことでも、情報を得ることで「もっと知りたい」と思うこともあるでしょう。


お客様からの情報は、自分の知識になることもあります。筆者もお客様に物知りだと言われることがありますが、半分以上がお客様から得た知識と言っても過言ではありません。


他にも新しい技術が出来るようになった時や、難しいオーダーでお客様が喜んでくれた時、さらには「ありがとう」と言ってもらえた時には、「この世界で頑張ってきて良かった」と思えるでしょう。


サービスを提供する側がお客様に感謝の言葉を伝えることはあっても、お客様から感謝の言葉を頂ける事は多くありません。だからこそ心から「理容師で良かった」と思えるのです。


将来を見込むなら美容師とのダブルライセンスの習得がおすすめ

やりがいときつさを持ち合わせている理容師ですが、将来的に継続して働いていきたいと思うのであればダブルライセンスがおすすめです。


ダブルライセンスを取得するメリットは4つあります。


  • 美容室でも理容室でも勤務できる
  • 提供できるサービスが増える
  • 美容と理容両方の知識が得られる
  • 開業時に美容師でも理容師でも雇える(管理美容、管理理容は必要)

現在、理容室の減少が進んでいるため、働く場所の選択肢を増やしておいた方が良いでしょう。


近年ではダブルライセンス保持者のみが働く、新たなサロンも増えてきています。それぞれができる技術を、男女問わずに提供しようという試みで誕生しました。


減り続ける理容師を守るためにも、ダブルライセンスは必要になってくるのかもしれません。


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